伊月視点







「ごめんね黒子君、お待たせ」






「いえ、気にしないで下さい。僕もさっき部活が終わったところなので....すみません伊月先輩、つめてもらって良いですか?」




「えっ?あ、うん」





「失礼します」






申し訳なさそうに笑いながら、俺の隣に座った女の子






「黒子....その子は?」







あの火神でさえバーガーのカスがついた口を開けたまま何も言わない中、日向が黒子に声をかけた





「あぁ、彼女は中学が同じの、宮内さんです」




「宮内マリンです。すみません、皆さん楽しそうにお話していらっしゃったのに.....」




「いやいや全然気にしなくて良いから、楽しくなかったし。」





珍しく日向が赤面しながら話す







「宮内さん、何か食べますか?」




「んーん、すぐに帰るから大丈夫だよ。これ、この前言ってた本と、あとこれは黒子君に是非とも読んでみて欲しい本!」





「ありがとうございます」





「お前、黒子の彼女なのか?」







いつの間にか復活してバーガーを口に運んでいた火神が、彼女に声をかける







「えっ?違いますよ?」







キョトンと首を傾げる宮内さん






かわいい.......







「火神君、彼女に失礼です。宮内さん、彼は僕と同じバスケ部の火神君です。同年齢なので敬語は使わなくて良いと思いますよ」




「そうなの?よろしくね、火神君!」





「お、おぉ....」






かわいい、この子すごくかわいい





そんな事を考えていたら、日向が口を開いた





「俺も黒子や火神と同じバスケ部の2年、日向順平だ」




「よろしくお願いします!」




「日向先輩はキャプテンなんですよ」




「えっ?そうなんですか!凄いですねっ」




「い、いや、そんなには凄くねぇけど、な」




日向がどもるのもわかる




彼女の笑顔はかわいい






「俺もバスケ部の2年、伊月俊っていうんだ、よろしくね」




「よろしくお願いします」





あぁ、直接自分に向かって笑顔を向けられるとダメだ.....




ホントにこの子......





「かわいい....」





「えっ?」





「あっ!」







目の前の彼女が頬を赤くする




心の中で思っていたはずが、声に出てしまった





自分の顔が熱くなるのを感じていたところで、黒子が口を開いた






「もうこんな時間ですし、帰りましょうか」






火神はいつの間にかバーガーの山を食い尽くしていたし、日向と俺は元々バーガー1個とドリンクだけだったのですでに食べ終わっていた






「うん、また会おうね黒子君」





「はい。次は僕のおすすめの本を持ってきます」





「暗いから気をつけろよ?」





火神の言葉にハッとする





「宮内さん、俺送るよ」




「伊月っ?」




日向が驚いた声を上げる




正直自分も驚いてはいるけど






「えっ?伊月先輩....?」





「じゃあ黒子、火神、日向、また明日っ」




「えぇ....」



「おぉ?」



「ッチ」





驚いてる黒子と、不思議そうな火神、



そして最後に何故か舌打ちをしてきた日向と





何故か積極的な自分に苦笑しつつ、宮内さんの手を取って外へ出る





「あの....伊月先輩?」




「あっ、宮内さん、家どっち?」




「あっちです」




「お、同じだ」





「伊月先輩、ありがとうございます、初対面なのに送って頂いて.....」





「良いよ、というかごめんね、急に送るって言って」




「いえ、大丈夫です!気にしないでください!」




「ありがと.......あの、さ、メアドとか、教えてくれない?」




「良いですよ!赤外線で良いですか?」





「うん。あ、ここね?」




「はい」







俺のケータイに、彼女のケータイがくっつく







「わぁ!メールしても良いんですか?」




「あぁ、俺もメールして良い?」





「はい!」





「宮内さんは、その制服....秀徳?」






「はい!」






「そっか....何か部活に入ってるの?」





「いえ、帰宅部なんですけど、今日は先生のお手伝いしていたら遅くなっちゃって」





「そんなんだ!えらいな」





「全然そんなこと無いですよ!あ、家ここです」






そう言って彼女が指さしたのは、俺の家から少し先にあった、綺麗なマンションだった





「じゃあ後でメールするね」





「はい!って、伊月先輩の家通り過ぎちゃってたんですか!?ごめんなさい.....」






「えっ?いや、気にしないでよ、俺が送りたくて送ったんだから」





「ありがとうございます、メール楽しみにしてます!」




「うん、おやすみ!」




「おやすみなさい!」





彼女がマンションに入っていくのを確認してから、元来た道を戻る








初対面の女の子相手に、初めてこんなことしたな.....





いや、どんな相手にも今までやったこたないけど







もしかしたら俺は彼女に.....









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