放課後、体育館にて




「マリンちゃん、このベンチ座って待ってて!俺達着替えてくるから」


「えっ?うん、行ってらっしゃい!」






まだ誰も居ない、静かな体育館の端の方に置かれているベンチに腰をかけ、横にスクールバックを置く




優しい先輩しか居ないって聞いたし、監督さんには緑間君が話てくれるから大丈夫だとは思うけど、



バスケ部には高尾君と緑間君しか知り合いが居ないから少し緊張する.....







高尾君達まだかな





そう考えた時、体育館の扉が開いた







「あっ」








しかし入って来たのは高尾君でも緑間君でもなく、




緑間君と同じくらいの身長で、



色の薄い茶髪の人だった




その人は私と目が合った瞬間驚いた顔をして、すぐに眉間に皺を寄せて視線を逸らした





何だか怖い、けど見学させて貰うんだからちゃんと挨拶しなきゃ



「あの、今日高尾君と緑間君の紹介で見学させて頂く事になった、1年の宮内マリンです」


「あ?あー......3年の宮地清志、よろしく」


「よろしくお願いします!」


「あぁ、」





終始視線を逸らしたまま、宮地先輩は少し離れた所でアップを始める





やっぱり、部外者の私が居るとやりづらいんだろうか




そう思って体育館をそっと出る




体育館の扉の前で待つことにした


「あれ、マリンちゃんどうしたの?宮地さんは??」










何人か他の部員さん達が体育館に入って行ったので挨拶をしていると、
ジャージに着替えた高尾君と緑間君が、他の先輩らしき人達と一緒に戻ってきた


「宮地先輩?ならアップしてるよ?」


「いやいや、そうじゃなくて、何か話さなかったの??」


何故か必死に高尾君が聞いてくる



「えと、挨拶はしたんだけど、なんか私が居るとアップとかやりづらいみたいで....」



少し苦笑いしながらそういうと、


高尾君の後ろに居る、これまた背の高い先輩達が


「あいつは〜」みたいな感じでため息をついてる


「あ!挨拶遅くなってしまい申し訳ありません!今日見学させて頂く事になった、1年の宮内マリンです!」



「あぁ、俺がバスケ部でキャプテンやってる3年の大坪泰介だ、よろしく」


「同じく3年の木村信介、よろしくな」


大坪先輩と木村先輩に順番に頭を撫でられる



「わぁ....なんかお兄ちゃんが2人できたみたいです!」


「ははっマリンちゃんめっちゃ笑顔っwww」




大坪先輩と木村先輩に笑われ、


高尾君にいつも通りの笑い方をされたが、




緑間君は少し不安そうな顔をしていた





「じゃあ宮内、体育館行くぞ」


「はい!」



大坪先輩に声をかけられ、皆で体育館に入る







アップに向かう前の緑間君に声をかける



「緑間君どうかしたの?具合悪い?」


「悪くはないのだよ....宮内」


「はい?」


不安そうな表情のまま名前を呼ばれて、首をかしげる



「いや、何でもない」


「そっか、じゃあ何かあったら言ってね!」


「あぁ」






緑間君と分かれて、
私のスクバが置きっぱなしだったベンチに腰をかける




アップを始めた高尾君や緑間君、大坪先輩や木村先輩を見ていると視線を感じたので、そちらを向く



「っ!」




するとそこには宮地先輩がこちらを睨んでいるのが見えて、慌てて視線を逸らしてしまった




先輩に対して、失礼だよね......






そうは思いつつも、なんだか怖くて俯いてしまう







「君が宮内さん?」




声に反応して顔を上げると、先生っぽい男の人が立っていたので慌てて立ち上がる




「あの、今日見学させて頂く事になった1年の宮内です!」


「ありがとね、緑間のわがまま聞くの大変だろう?」


「いえっ、緑間君や高尾君と一緒に居ると楽しいので、今日2人の普段と違う姿が見れるのが楽しみです!」



「それなら良かった。途中で帰らないといけなくなったら帰って大丈夫だから」





そう言うと監督さんは、他にもやることがあるのか、大坪先輩に何かを話した後体育館から出て行った




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