しばらく経って、泣き止んだ彼が私の手を握りながら、
また不安そうな目で見つめてくる
「すみません....また貴女との時間を無駄にしてしまって.....」
「大丈夫だよ。無駄だなんて思ってなかったから」
「あの....僕にお話があるんでしたよね...?それでてっきり、別れ話かと....」
「ちっ違うよ!私から別れようなんて言えないよ!」
「僕からも言えないです!だってっ、ずっと一緒に居たいから....」
「うん。ありがとう、あのね?」
「はい....」
「私2週間、海外出張することになったの」
「えっ!?」
私の手を自分の口元に運びながら、目を閉じて聞いていた彼が、
目を見開いて固まる
「だからごめん、2週間会えないんだ...」
「いつ....からですか?」
「明日のお昼の飛行機で...ごめんね、本当は他の人が行くはずだったんだけど、インフルエンザで行けなくなって....今日急に決まった事なの」
眉をハの時にして、しょんぼりとしている彼の頭を撫でてあげる
「僕....待ってますね....」
「うん、ありがとう。お土産沢山買ってくるね?」
「あの...2週間会えない代わりに.....お願いしても良いですか?」
「良いよ?なぁに?」
「帰ってきたら....その....マリンを全部、僕にください」
ん?
シたいって事かな?
でももう何度か.....
「あれ?全部あげてたつもりなんだけどな?」
「違うんです!」
私の考えてる事がわかったのか、顔を赤くしながら、
私の両肩を掴んで、真っ直ぐ見つめられる
「身体や、気持ちだけじゃなくて、全部欲しいんです!マリンが!」
「え?あ、うん。ありがとう」
まだ理解できていない私を、
拗ねた顔のまま抱きしめてくれた
「今理解できなくても、帰ってきたら、理解して貰います」
「はーい」
拗ねたままの彼の唇にキスをすれば、
同じように彼もキスをしてくれる
拗ねやすくて寂しがり屋で、甘えん坊な彼はよく、
私を抱きしめたまま寝てしまう
そんな彼の、安心しきった寝顔を独り占めできていることを
私が幸せに思っていることを
彼は知っているかな?
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