嫌い、嫌い、大好き8
2013/07/20 01:59

――傷つかないで。酷いことを言っても、酷いことをしても。
なんてわがままなんだろう。でも嫌わないで。
なんてことはないって顔をして。いつもみたいに余裕ぶって。
呆れた顔はしてもいいから、でも傷ついた顔はしないで。嫌いにならないで。

「全部わかって――って思ってる」
「…………」

とどめを刺すような臨也の言葉に脱力した。

(……くそ)

心地いい疲労感とじわじわ温度の上がる羞恥。自分が酷く滑稽に思えてならない。
もしかすると、と静雄はぼんやりと考えた。
もしかすると臨也には、静雄の中の横暴でわがままで憎たらしい子供の姿が見えているのかもしれない。

(こんなガキ、俺なら殴り飛ばす)

女子供に手をあげるのは信条に反するが、自分ならば問題ない。
何せ一番嫌いな相手だ。子供だろうと容赦するつもりはなかった。
この憎たらしさは殴ってでも矯正したい。



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