嫌い、嫌い、大好き3
2013/07/11 06:02
すると、ふ、と臨也は笑う。いつもの人を馬鹿にしたような笑みではなく、照れくさそうな、言うなれば純粋な微笑みだった。
そして。
「――思ってるよ」
囁くような声音で言った。
「っ」
瞬間、静雄の中を不思議な感覚が突き上げる。
激しい怒りのようでも、大きな羞恥のようでもあった。顔に血がのぼり、動悸が激しくなる。
それは初めて恋を知った時の感動にも近い。
(くそ……ッ)
静雄は唇を噛み、動揺を隠す。
とはいえ、臨也の目には明らかだろう。彼は小さく笑って少しだけ距離を詰めた。
それでもまだ体はふれない。静雄の警戒をあえて刺激するつもりはないらしく、絶妙な距離を保っている。
臨也は足を組み替え、耳に直接吹きかけるようにして囁いた。
「俺はさ、君のそういう衝動をいとおしく感じるからね」
「……衝動?」
「確認したいって衝動」
「…………」
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