嫌い、嫌い、大好き2
2013/07/10 05:05

ソファに座る臨也を不機嫌な顔で見下ろす。
彼は読んでいた外国語の並ぶ新聞を畳み、目の前のガラステーブルに放った。そして足を組み直し、隣の席を指さす。

「あのさ、とりあえず話する気ある?」
「……別にいいけど」

あくまで不承不承。そういった態度を崩さないままに静雄は腰をおろす。
距離は少しだけ空けた。体がふれないだけの、僅かな距離。
けれどいつものことを思えば大きな距離だ。

臨也は静雄の顔を見やり、口を開く。

「で、何が?」
「何がってなんだ」

彼の言いたいことはわかっていたが、それを汲み取るのが嫌で疑問で返す。
それに機嫌を損ねるでもなく、慣れた様子で臨也は言葉を重ねた。

「唐突なのはいつものこととして、内容がいただけない。嫌ってなんだよ」
「こっちがビビるわ。おまえ、自分と俺がつき合って俺が幸せだとでも思ってんのか?」

(あーあ)

悪辣な物言いが得意だな、と静雄は他人事のように思った。
口から出た言葉は取り消せない。後悔を滲ませるのが嫌で、意地になって無表情を装う。
自分が言ったのは本音だ。そう言い聞かせる。
強い視線で相手を見返した。



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