もう辞めたい、逃げたい。何度願っても私は抜け出せない。

いつからか、一緒にいるのが辛くなった。怪我をして帰ってくるからじゃない悲しげに笑うからじゃない。

彼は一度だって私を見てくれたことなんてないの。

「また怪我してる」
「大丈夫だよ、心配すんなって」

安心させようと笑ってるのだろう。けれどその笑みはやっぱり悲しげで。
何も言ってくれないね、私は頼りにならないからかな。戦う力なんてない。私はただ帰りを待つしかできない弱い人間。

好きだなんて言わない。
彼の重荷になりたくないから。

傍にいてなんて言えない。
私はただの玩具にすぎないのだから。

優しく笑って頭を撫でられても、抱きしめられても、私は笑うことなんてできないわ。

だって、貴方の心はここにないから。


私の知らない名前、寝言で言ってたって、私は耐えただけ。一人になんてなりたくないから。

逃げたいよ、苦しいよ、
ねぇ、私を愛してと言ったら貴方は笑う?突き放す?

怖いよ、悲しい。
私には貴方しかいないから、どんなに辛くても待つことしかできないわ。




「また、行くの?」
「…悪いな。早めに帰るから」
「うん、気をつけてね」

頬にキスされても満たされない、好きだと囁かれても喜べない。
いつからだろう、貴方の言葉を疑うことしかできなくなったのは。


「アルフレド、」
「ん?」

「ばいばい、」


"なんか言ったか?"と振り向いたアルフレドは、初めて私を見て驚いた。

崩れ落ちる身体を抱き起こされて、ただ名前を呼ばれた。





初めてね、
ちゃんと私を見てくれたの、

初めてだね、
私を見て泣いてくれたの、

初めてだなぁ、
こんなにきつく抱きしめられたのは。


初めてなのに、悲しいよ

悲しいのよアルフレド。


「あいしてる」



もう戻らない



(もっと一緒にいたかった)
(愛してると言われたかった)

(わたしは一人、果てていく)





20111019

死ネタです
ヒロインやんでれ?←

アルはちゃんと、彼女を愛してました。

ヒロインの知らない名前はプレザの本名で、彼女を裏切りそれを申し訳ないと夢の中で懺悔してました、

素直になれなかったヒロインと、不器用すぎてちゃんと愛の言葉を伝えられなかった、そんな二人。