ミルクに溶かす金色とたてがみ



 オレと苗字名前は家が隣同士の幼馴染。小さい頃から何をするにも一緒で、昔はよく兄妹に間違えられたりもした。どちらかと言えば控えめで、一歩下がった位置にいる名前はオレにとって何よりも守るべき存在だった。
リボーンが来てからガラッと変わったオレの日常の中で、名前だけがずっと変わらないでいてくれた。それが何よりも嬉しかった。
 そして、今も変わらずそばに居てくれる。そんな君が愛おしくて堪らないのだ。

「ね、名前」
「んー?どしたの綱吉くん」
「んーん、何でもないよ」
「?」

 久しぶりの休日。名前とゆっくり過ごすことにした今日は、なんだか昔のことを振り返ってしまう。最近忙しかったから昔が恋しくなったのだろうか。
 昔といえば、自分が恋心に気づくのも、名前に気づいてもらうのも一苦労だった。きっと獄寺くんや山本にはやきもきさせていただろう。いや、確実にしていたはずだ。淡い気持ちをオレが自覚するのに1年、そして名前に気持ちが正確に伝わるまでさらに1年かかった。オレの気持ちを受け入れてくれた時の名前、かわいかったなあ。

「綱吉くん、顔緩んでるよ」
「え、ほんと?」
「うん、みょーんってできそう」
「えへへ、名前の事考えてたらつい」
「ふふ、そっかあ」

 正直に話したら嬉しそうに笑う彼女。ああもう、なんてかわいいんだ!思わず抱きしめて頬を擦り寄せる。やわらかい。かわいい。どうしよう、オレの奥さんがこんなにも可愛い。

「そういえば名前、昔俺の瞳は蜂蜜みたいだーって言ってたよね」
「言ってた気もする」
「今もそう思う?」
「んー思うかな」

 君がそんなことを昔言っていたことを思い出した。あれからもう10年も経つのか。変わらず可愛い名前はもしかしたら天使なのかもしれない。なんて馬鹿げた考えをしてしまうのも名前が愛らしいから仕方ないと思う。

「蜂蜜みたいで、透き通ってて綺麗だよ」
「ありがと。名前の目も綺麗。髪も、肌も。全部がすき」
「ふふ、知ってる。いつも伝えてくれるもの」

 そう言う名前はやっぱりかわいい。この子ほんとに俺の嫁?最高すぎない?オレの嫁は世界一…。そう頭の中で思っているオレに向かって、にへらっと笑っているこの子を一生大事にしたいと改めて思った。

20190125


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