猛暑対策として効果的なもののひとつ。それは、帽子をかぶること。帽子で頭に直接日が当たるのを防ぐことで、頭部が熱くなるのを防ぐことが出来るのだ。熱中症対策としても抜群な帽子、その中でも効果的なのは麦わら帽子らしい。

「つまり、この時期に麦わら帽子は必須なんですよ獄寺隼人くん」
「いやだからって被らねーよ」
「なんで!?絶対似合うじゃん」
「被るとしてもぜってーお前の選んだやつはダメだ」
「こんなに可愛いのに」
「どう見ても俺向きじゃねーだろそれ。なんでつばの部分にフリルがあってリボンはピンクなんだよ。女子か」
「ちぇっ、せっかく似合うと思って買ったのになあ」
「お前正気か?」

商店街で売り出されていた、安いけれど可愛らしい麦わら帽子。京子とかハルとか、ああいう可愛い女の子に似合うだろうなっていう感じの雰囲気だ。可愛いものが好きなわたしとしてはとても好みだけど、ちょっと可愛すぎて似合う自信が無い。つい値段に釣られて買ってしまったけど被る勇気はなくて、偶然会った獄寺にふざけた振りをして被せようとしたけどノリが悪く被ってくれない。どうしよう、これ

「ったく」
「わっ」
「俺が被るよりも、お前が被る方が100万倍マシだろーが」
「っ、でも」
「でももくそもねえ、お前が買ったんだろ。責任もって使え」
「わたしには、可愛すぎるじゃん、これ。」
「んなことねーよ。…似合ってる」
「…え?」
「うおっ、あー…くそ。名前、ちょっと待ってろ!」

話している途中で強い風が吹いて、私の頭に軽くしか被せられていなかった麦わら帽子が飛んで行った。…獄寺が慌てて追いかけて行ってくれた、今のうちにこの火照った顔を戻さないと。まだ少し赤い頬に手を当てる。大丈夫、戻ってきた頃には収まってるはず。

「にあってる、か」

他の誰でもない、獄寺にそう言って貰えてうれしい、なんて。あいつには秘密だ。

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