※第12話:Game(is Love?).10




「本当に傷、治りかけてますね…………、」
 ナナは薔の左胸に、そっと触れてみる。

「触んなら、もっと激しく触れ。」
「いいいいや、なんか、スミマセン………!」

 しかしそう言われ、とっさに手を引っ込めた。


「触んな、とは言ってねーぞ?」
「うわぁ…!なんか、本当にごめんなさい………!」


 どうしたらいいのかと慌てるナナだが、甘く見つめられていた。




「はやく飲めよ。」





「なら、くちびるにしましょう!?」
 ナナは明るく提案してみた。

「お前、よく考えろ。」


 ………………はい?


「くちびるは見えるが、胸は見えねーぞ?普段。」

 …………ぉぉぉおっ!?


「でも、すごく、くるしんでましたよ?」
「まだ右は噛んでねーよな?」

 ………ぎゃぁあぁっ!!



 なにを言い返そうかと、ナナは真剣に考えた。

 が、



「俺はいーから、やれ。」


 言い返す間もなく、薔は囁きかけた。




「牙、いっぱい出ますけどぉ!?」
「どーせなら、全部出してイけよ?」


 ナナはためらった。

 そんな彼女の髪をやさしくゆびで梳き、薔は言った。




「ナナ、はやく…………」








 ゆっくりと、くちびるを、胸元へと近づける。
 そして、すこしだけ、震えながらキスをした。

 チュ―――――――…


「あ……………」

 薔は、か細い声をあげる。


 ナナはそのままくちびるを押し当てると、

 ガリッ――――――…!

 牙を最大限にまで立てて、思いきり深く、噛みついたのであった。









 牙は胸に食い込み、痛々しいほどの血液を流していた。
 シーツはところどころがあかく染まり、乱れきってしわだらけになった。



「ンんっ……、ん……ぅ…っ…………」
 ナナは久しぶりにちからを解放したせいか、むさぼるように吸いつきながら、流れ込むF・B・D(※極上の血)によって押し寄せる快楽に身を委ねていた。

 喉もとを血液が過ぎるたびに、突かれたような快感が走り抜けてゆく。




 そして血液を流す薔は、

「はぁっ……、あ…っ……」
 この間ほどくるしんではおらず、むしろ淫らな吐息に混ぜて、うわずったような声をあげていた。


「……っあ…っ、」
 そして彼は、ナナの素肌の肩を抱きながら、シーツを片手で裂けるほどに掴んでいた。


「…っ、お前…、ぁ…っ、…そこ…、舌…が……っ、あ……」

 ナナが血液を飲み込むときに撫でる舌先を、感じてしまっていた。
 それとともにからだを打ちつけるのは、身を切るほどの、絶え間ない激痛――――――…



「ふっ…………ンぅ…っ……………」
 ナナはまさに、イきそうだった。


 すると、


「あぁ……っ、は……あっ……………」
 薔は身を捩り、甘美な声で囁いた。




「……ダメ、…だ…、…イく…っ、」




「んンんんっ…………!」
 ナナが吸血行為により達したあと、すぐに、



「あっ……っ!」

 薔も達していた。



 彼は、ナナとの吸血行為により、はじめて、イった。

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