わいわいがやがや17時

「やっと全員に送り終えたね!」

「ああ……」

「こんなに時間かかるとは思わなかったよ」

「ああ……」

「ヴィンセント?」

「ああ……ん?」

「ふふっ、ヴィンセント疲れすぎ」

「機械は苦手なんだ」

「うん、私も苦手。今日一日で携帯電話を一生分操作した気分」

「違いない」

「何時間かかってるんだ、って話だよね──わ! 話してるそばからメール来たよ!」

「私にも来ている。また一斉に送っているな」

「ティファからだね。セブンスヘブンに18時集合、全員強制参加です……だって」

「もう17時をまわった。集合時間には間に合わないな」

「ニブルヘイムからミッドガルはちょっと遠いからね……あ! そうだ! シドに頼もうよ、さっきの飛空艇乗せてもらうの!」

「確かにロケット村ならすぐだ」

「まさかさっきの添付画像に助けられるとは思わなかった! そうと決まれば出発しよ!」



「あ、イリス達やっと来た!」

「ふざけんなよ! こんなギリギリにメール寄越して、間に合うかっつーの。だいたい──」

「そう言ってても、結局すぐ来れちゃったじゃない! 流石シドね」

「お、おうよ……!」

「(ティファ、シドの扱い上手…!)」



「あれ? そういえば何でイリス達とシドが一緒なの?」

「あのね、ヴィンセントと相談してね、シドの飛空艇に乗せてもらったの! すっごい速かった!」

「ヘヘッ、ったりめーだ!」

「そっか、それは大変だったね、急に呼び出しちゃってごめんね。とにかく中入って! もうみんな始めちゃってるの」

「始めちゃってる?」

「さあさあ、三人とも入った入った」



「わー! エアリス、久しぶり! うわわ、みんな居る!」

「イリス! それに二人!」

「おい、俺達ァおまけかよ!」

「(おまけだと……)」

「あ! あいつらもう飲んでやがるな! 俺様も入れろ!」

「二人も何か食べたら?」

「うん。あのさエアリス、みんな同じ時間にメール来たんだよね? その割には集まるの早いよね?」

「ふふ、確かに」

「それに、なんでこんな宴会みたいになってるの? 今日何か特別な日だっけ?」

「ううん、違うよ。みんなね、会いたかったんだよ」

「会いたかった?」

「そう、会いたかったの。だけど全員が集まることって滅多に無いよね。なんか、全員集合って言うのが憚られるっていうか」

「うん、確かにね」

「だからね、イリスのお陰で集まれたんだよ」

「え? なんで私? 私なにもしてないよ?」

「イリスからメールもらって、恋しくなっちゃったんだよ。だからみんな、いつの間にかセブンスヘブンに集合しようとしてたんじゃないかな。そうじゃなきゃこんなに早く集合するはずないもん」

「そっか、うーん、そうなのか……?」

「イリスはみんなに愛されてるってことだよ」

「なんでそういう発想に──痛っ!」

「イリス〜! 久しぶり!」

「わあ、ユフィ、久しぶり! そして久しぶりに痛い! あ、ナナキもいる!」

「待てよイリス、アタシを置いてくな〜!」



「みんな楽しそうだね」

「そうだな」

「ヴィンセントがいつもイリスを独り占めするから、みんな会えて嬉しいんだよ」

「独り占めをしているつもりはないんだが」

「ふふっ、嘘ばっかり。本当は今だってちょっと妬いてるでしょ」

「妬いてなどいない。からかうなエアリス」

「はいはい、そうですか」

「……」

「わかりやすいんだから」

「だから妬いてなど──」

「ヴィンセントもこっちおいでよー!」

「噂をすれば、お姫様がお呼びだね」

「エアリス!」

「怒ってないで行った行った」



久しぶりに貸切状態のセブンスヘブン。イリスのメールで、皆彼女が恋しくなった模様です。


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