予想外の16時

「うわー、ヴィンセント! 次、シドで最後だよ!」

「やっとか……さっさと送ろう」

「最後だからちょっと頑張っちゃおう」



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To : シド
From :
Sub : こんにちは
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シドこんにちは、イリスです。携帯を買いました。シドで最期です。シドはまだ禁煙してないんですか。体に気を付けてください。
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To : イリス
From : シド
Sub : Re:こんにちは
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縁起でもねえこと言うんじゃねえ
余計なお世話だ
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「う、なんか怒ってる」

「何か怒らせるようなことを書いたのか」

「ううん、書いてないよ、ほら」

「……イリス、"さいご"の字を誤変換している。最期ではなく最後だ。……シドからすれば突拍子のない内容の上に、誤変換ときたら、怒るのも無理はないな」

「う、そっか、すぐ謝っとこう」



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To : シド
From : イリス
Sub : non title
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シドごめん、さっきの誤変換
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To : イリス
From : シド
Sub : non title
添付ファイル 1件
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本文はありません。
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「うわ、本文はありませんって! どうしよう、本当に怒ったのかな……」

「待てイリス、何か添付されている」

「てんぷ? え、どうすればいいのかなこれ」

「画像か何かだろう、これを開けば……」

「わあ! すごい、写真だ! 何の写真だろ…。もう! シドったら逆光だよ!」

「これは恐らく……艇だな」

「艇か! ……あれ、でもさ、今の返信に艇の画像って変じゃない?」

「シドとしては、好きなものの写真という訳だからな。まあ、気にしていないということなのでは……」

「そうなのかな……」

「いや、私の勝手な解釈だ」

「シド、変なの」



七人目、その頃、ヘクショーイ! と豪快なくしゃみをかましたシドへ、送信完了!


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