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Simplicity is the keynote of all true elegance.


【Simplicity is the keynote of all true elegance.】

シンプルさはすべてのエレガンスの鍵。



ココ・シャネルはかくのたまう。
私はこれまでファッションなんてよくわからなかったけれど、今日、ほんの少しだけわかった気がした。なんだろう、シンプルなものはそれだけで、ほんと美しくて魅了されてしまうものなのだ。



***



『旦那のかっこいいところが見たくね?』

なんていう、悪魔の誘い文句にわたしは勝てませんでした。


***


「きゃー、クラウスさんかっこいい!素敵!クラウスさんにおこづかい全部賭けます!!」

「あんたそこで何してんだぁああああ!」

地下闘技場にレオくんの鋭い突っ込みがさく裂した。
だがしかし、

「話は後だレオくん!わたしはもっと間近でクラウスさんの勇姿堪能しにいくから!」

人ごみに流され、リングから遠ざかっていくレオ君に親指をぐっと突き出して私は最前列へともぐりこんだ。「どいてくださーい、わたしクラウスさんのセコンドですんでー!はいどいてどいて!」と主張した結果である。
セコンドなんて単語知ってるのかよお嬢様が!なんて突っ込みは受けない。わたしの知識はだいたいネットとアニメとジャパンの漫画である。

「クラウスさん頑張ってー」
「アリス?!何故君がここに?ザップと一緒だったのか?!どこか怪我は、」
「だいじょうぶです!クラウスさんが怪我しそうになったら投げるタオルの準備はできてます!」
「タオル?いやそれよりも、ザップを、」

やばい、かっこいい、すてき!場内の興奮にあてられて、わたしも相当頭が沸いている。

「クラウスさんっ!」

目をきらっきらに輝かせ、アニメイションで見たような非日常にわたしはテンションマックスだ。

「最強にかっこいいとこ見せてくださいね!!」

クラウスさんがそのときどんな顔をしていたのか、ふんすと鼻をならして興奮している私はぶっちゃけ気づいていなかった。

開始のゴングがなる。湧き上がる歓声。拳と拳がぶつかりあう。少し昔の自分なら間違いなくびびって泣き出していただろうに、今の私ときたら興奮に胸をはずませている。だってそうだろう?びびるのも、泣き出すのも不安で怖くなるからだ。今の私は、ここでそんなこと微塵も考えていない。
目の前にいる人がまけるなんて、少しも思っていないのだ。

激しい動きに、クラウスさんが脱ぎ捨てたいつものウェストコートをはしりとキャッチする。普段とは違うクラウスさんが現れる。

「きゃー!かっこいい!やっちゃえクラウスさん!そこだ!右!みぎすとれーとだ!」

更に戦いはヒートアップしていく。続けざまに今度はクラウスさんがそのきれいにノリのきいているシャツを脱ぎ捨てた。他の観客がキャッチしたのをすぐさま「へいっ、へいぱーす!こっちでかいしゅうしまーす!」と華麗に私は回収した。あ、なんかこれすごい内助の功っぽい?名せこんど?

「クッラウスー!クッラウスー!」


クラウスさんの名前コールにのっかって、わたしも一緒の拳をつきあげ応援する。片腕には回収した服をひっしと抱えていた。
ああ、クラウスさんかっこいい。ほとばしる殺気がここちいいとか感じ始めているあたり私も随分この街色にそまってしまっている。どこまでもシンプルな、いきものの闘争に私はぼうと見とれてしまうのだ。


***


血界の眷属なんてものの登場などで一時その場は騒然とするも、何とか事態は無事に収束を向かえた。

「クラウスさんクラウスさん!だいじょうぶですか?!あのあの、かっこよかったです!かっこよかったですけども怪我とか!ないですか?!」

あわあわと、私はクラウスさんの周りをまわる衛星のようにぐるぐるしつつ、一枚ずつクラウスさんの脱ぎ捨てて言った服を渡していく。テンションがあがりすぎて、クラウスさんのかっこよさにきゅんきゅん胸を呑気にときめかせていた自分がほんっとに情けない。たまたま血界の眷属でも良識派?穏健派?だったから良かったものの、少し間違えば命だってあやうかったというのに。

「私ならだいじょうぶだ。その、服をすまないな」
「うっ、うっ、うっ、……服を拾うぐらいしかお役に立てず」
「そんなことはない。君の応援はとても嬉しかったよ」

ぽん、ときちんと服を着込んだいつものクラウスさんが困ったように笑っていた。戦っていたクラウスさんもすごく素敵だったけど、やっぱり、無類の紳士だ。そして、その後のザップはほんとーに私がいうのもなんだけれど相変わらず馬鹿だなぁと思いました(作文)


(わたしたちのくらうすさんはさいきょうなんだ!)










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