恐怖の味噌汁(笑) 撫子の気まぐれによって集められたメンバー。 これから百物語を始めるようです。 「さぁ、始めましょう、今すぐ始めましょう。 みなさんお手元の蝋燭を持って下さい。 あぁ電気も消しましょう。 さ、百物語の開始です。」 日吉が謎のテンションで仕切る。 「ちょっと待てぇい!!」 「…何ですか?」 「なんでいきなり百物語やねん!!」 「……………エコのためです…。」 「何がエコやねん!!」 「今地球温暖化でしょ?だからあまりクーラーを使わずに精神的に涼しくなろうって事。分かった?」 ポンと肩をたたく。 周りを見渡したら跡部や滝でさえも蝋燭を持ちスタンバっている。 「…マジかいな…。」 「では俺から始めます。」 日吉がトップバッターだ。 一気に恐怖を煽り空気を完成させる計画だ。 「…あるカップルが夜車でドライブをしていたそうです。 そのカップルはドライブをする事が多かったために高性能なカーナビを付けていたそうです。 そして車の中では楽しい楽しい、会話が続きました。 山道にさしかかりました。 どうやら山を越えて隣町へ行こうとしていたようです。 カーナビも案内するために『そのまま直進です。』と言いました。言われたように直進させます。 そしてまた『そのまま直進です。』と言われました。 山道は真っ暗、頼りになる明かりはヘッドライトのみ。後はカーナビの音声に頼るしかありません。 『そのまま直進です。』またです。 また直進です。 流石におかしいと感じ始めました。その時です。 『そのまま直進ですそのまま直進ですそのまま直進ですそのまま直進ですそのまま直進ですそのまま直進ですそのまま直進ですそのまま直進です直進です直進です直進です直進です直進です直進直進直進直進直進直進直進直進直進直進直進直進――――』 言い続けました。 驚いた彼は急ブレーキを踏み止まりました。 そして車から降りて車前方を確認しに行きました。 彼は驚きます。前方は崖だったのです。 このまま直進していたら転落するところでした。 二人は来た道を引き返します。 もちろん、カーナビの電源を消して、 ですがカーナビが砂嵐を表示していました。 ザーザーザーザーザーザーザーザー、 そしてまたプツンと切れました。 切れた事でほっとする二人は次の瞬間背筋が凍りました。 カーナビが喋ったのです。 『死ネば良かッタのニ…』 と…。」 「すごいね日吉!!」 「いえ、それほどでも……次、鳳話せ。」 「え!?俺……だったら最近体験した話を… 俺、趣味でピアノやバイオリンを引くんですよ。 だから音楽室にも頻繁に行くことになります。 そして音楽準備室から聞こえるんですよ。変な音が…、シュッ、シュッって。 空耳かなぁって始めは思ってたんですけど…やっぱり、はっきりと聞こえるんです。 気になりますよね?だから俺は音楽準備室を覗いてみることにしました。 そこに、変な音の正体が居たんです。 その音は榊監督のキメ台詞のポーズの音だったんですよねー。 あのポーズが練習の上に有るものだと知ったときは少し驚きましたね。」 「長太郎、…それ怖い話じゃないぜ?」 「え?宍戸さん…あ!すみません!!」 「次俺が話すわ、後から話す方がハードル高ぉなる。 これはある遊園地で起こった出来事や。 仲の良い親子が娘の五歳の誕生日祝いで遊びに行ったんやそうや。 女の子は大層喜んでな、長い髪をアップにしてシンデレラの衣装まで着てハッチャケとった。 そんで、女の子はトイレに行きたいと言い出した。 親は『あそこにあるトイレに言っておいで、ここで待っとくから。』っていって女の子を一人で行かせたんや。 何分、何十分たっても一向に戻って来いひん。 迷子になってもうた。そう思ったら親はすぐに近くのスタッフに申し出た。 『トイレに行かしたら迷子になったんです。』ってな。そしたらスタッフなんて仲間に伝えたと思う?『至急全ゲートを封鎖せよ』やて。 親は驚いた。そこまでせんでええやんって思ったからな。 そんでスタッフはゲートの方まで一緒に来てほしいと親に頼んだそうや。 断る理由もないし、もちろん親はスタッフについて行った。 娘は見つかったんや。寝とった。知らん男の腕の中で…な。 しかも女の子は格好も変わっとった。 長い髪はショートカットにされてシンデレラの衣装ではなく男の子の服を着さされとった。ぱっと見じゃあ別人や。どこで分かったかっちゅーと、靴や…靴だけは履き替えされとらんかったんやて。 で、こんな誘拐事件は頻繁に有ったそうや。誘拐の目的はまぁ言わずもがなやな。 やからスタッフは全ゲートを封鎖しろって良ったんや。 ………終わりや。…なんや撫子?」 「うん?別に?」 「…ならええんや、次滝話すか?」 「…そうするよ。 これは僕が実際に体験した話だよ。 僕がまだ小学校低学年の頃の話でね、僕が公園で一人で遊んでたんだ。砂場とか遊具とかでね。 少し時間がたってあるお婆さんが僕に声をかけてきた。『私と一緒に散歩してくれないかい?』って、知らない人だったけど散歩ぐらいなら良いだろうって思ってついていった。 そしたらね、面白いことが起きたんだ。 お婆さんの、いやおじさんの心の中が聞こえてきてね。なんと僕をどうやってなぶり殺すか考えてたんだよねー。 流石に驚いて逃げ出したよ。 で、家に帰っていろいろ調べてみたら出てきた出てきた。猟奇殺人の全国指名手配犯だったんだ。なんか女装してたのは油断させるためみたいだったよ。 おしまい。」 「滝…それは怖いけど怖いの系統がちゃうで…。」 「そう?まぁ、喋っちゃったのは仕方ないね。 次、岳人話しとく?……岳人?」 滝が話しかけるも岳人は反応しない。 むしろ始めから反応がない。 「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理……。」 怖さで発狂なうだったようだ。 忍足にくっつきすぎている。 「あ、そっか岳人は怖い話苦手だったね。 じゃ次、宍戸?」 「げ…俺かよ…俺こう言うの苦手なんだよ……。 えーっとな…昔、公園で遊んで…いや森の近くの公園で遊んでたんだよ。えっと女子…だ、達が。 そしたら何人…じゃなくて一人が森に行ったんだ。 あ、隠れんぼしようとして、女子が一人隠れに行ったんだよ。そした「zzzzzzzz…………。」 ジローが寝た。 分からなくもない、文脈がおかしいものをあのジローが集中して聞くはずがない。 「チッ、おいジロー起きろよ。」 宍戸がジローを起こそうと体を揺らせる。 「ぁ゛あ゛?」 ギン、とジローが宍戸を今までにないくらいの鋭い視線と物凄く低い声で威嚇。 怯むメンバー達。 「………えっと…芥川さんを起こすのはどうかと思いますよ?」 「……激ダサ…。」 「跡部さん、話しますか?」 「アーン?いいだろう、樺地。」 パチーンと指を鳴らす。 「ウス。」 樺地が跡部の後ろに周り跡部を後ろからライトアップする。 跡部は見事などや顔を披露している。 「………………跡部は何がしたいんや?」 「アーン?…決まってんだろ。お前等を怖がらせてんだよ。」 「…は?」 「だから、俺様の美貌に怖れな!!」 ………………………………………。 「撫子…ラスト行こか。」 「んー?んー……ンフフフフ、んー…。」 「…撫子?」 「楽シかっタデす。アりがトウ…………。」 「「「「!?」」」」 姿がスー…と見えなくなった。 撫子が消えた。 「え…え?撫子?どこや…。」 冷たい汗が額を伝う、 話しかけた忍足も戸惑うが周りの奴らも戸惑う。 さっきまで確認できていた仲間が居なくなったのだ。 仲間ではなかったのか? では、何か? バァアン!!! 部室の扉が乱暴に開けられる。 「ちょっと私を放置して勝手に始めてるとか何て言う鬼畜!? 主催は私と日吉なのよ!!」 「…撫子…今、来たんか?」 「あったり前だろ!!またあの先公に捕まったっての!! …ん?みんな何やってんの? あ、もしかしてこれからだった!?私間に合った?」 「いや…撫子、さっきまでそこに居った…やん?」 「いねーよ、私みたいな物体がもう一個あったら怖いわ。」 撫子は本当に知らないようだ。 だったらさっきま居たモノは撫子以外のなにか。 もっと早くに気づこうと思えば気づけた。 日吉の話のカップルはBLですね。 とか 忍足にはその犯人お前じゃね? とか 鳳の話には腹を抱えて爆笑するだろう。 とか 滝の話にはその犯人か、元凶は。 とか 岳人の反応に萌え禿げてみたり。 ジローの寝顔からのすごみにはドキがムネムネしていただろう。 跡部にはもっと罵ったはずだ。 フラグはたくさんあった。 さっきまで居たモノは全て反応薄く返ってきた。 =別人 =人外 =幽霊。 そんな方程式ができあがった。 数日間、滝と日吉以外は撫子を見れば少々ビクつくようになった。 その反応を見て撫子はとりあえずニヤツいて妄想していたのは、また別のお話。 ―――――――― 50000hit企画第三弾 渚様リクエスト『氷帝メンバーで百物語』と紅姫様リクエストの『肝試しをしていて本当にでたら?』でした。 勝手に一緒にさせてすみません…。ホラー系ってことで一緒にしました。肝試しネタは本編でする予定の合宿ネタでやりたいと思っています。 さて、呼んでいる途中に「あれ?なんか主人公のツッコミやコメント少なくね?なんか変じゃね?」って思われた方はデストロイに対して愛着がわいてきてます。至急病院に掛かった方が良いでしょう。← [mark] [mokuji] |