ヒロアカaqua


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一瞬の暗転
しかし再びどこかに足をつく

「ゲッホ!くっせえぇ…んっじゃこりゃあ!」

「ゴホッ…ゲホッ…はぁ…な、にが…?」

「悪いね爆豪くん、海色さん」

「あ!!?」

「っ!?」

声をかけて来たその男は真っ黒はスーツに真っ黒な頭
私たちの背後にはヴィラン連合の面々

オールマイト達が助けに来てくれたところと違う場所にワープされたのかと判断する

「また失敗したね弔、でも決してめげてはいけないよ
またやり直せばいい、こうして仲間も取り返した、この子達もね
君が「大切なコマ」だと考え判断したからだ
いくらでもやり直せ、その為に僕がいるんだよ…全ては君のためにある」

ゾッという悪寒が私と爆豪くんに走る

「やはり…来てるな…」

その言葉の直後、どこからともなく現れたのはオールマイト

「全てを返してもらうぞ!オール・フォー・ワン!!」

「また僕を殺すか、オールマイト」

オール・フォー・ワンと呼ばれた男はオールマイトの攻撃を受けながら「ずいぶん遅かったじゃないか」と軽口を叩いた
その爆風に飛ばされかける爆豪くんと私の前に水の壁を張り衝撃を和らげる

「バーからここまで5km余り…僕が脳無を送り、優に30秒は経過しての到着…衰えたねオールマイト」

「貴様こそ何だその工業地帯のようなマスクは!?だいぶ無理してるんじゃあないか!?
5年前と同じ過ちは犯さんオール・フォー・ワン
爆豪少年、海色少女を取り返す!そして貴様は今度こそ刑務所にブチ込む!貴様の操るヴィラン連合もろとも!!」

「それは…やることが多くて大変だな、お互いに」

たった一撃、オール・フォー・ワンのその個性でオールマイトが吹き飛ばされる
建物を次々と突き抜けていく姿に威力の凄まじさを実感した

「「オールマイトォ!!!」」

叫んだ私たちに目を向けてオール・フォー・ワン

「心配しなくてもあの程度じゃ死なないよ、だから…ここは逃げろ弔
その子達を連れて…黒霧、皆を逃すんだ」

そう言って気絶している黒霧に何かを刺したオール・フォー・ワン
強制的に個性が発動しゲートが開く

「さあ行け」

近くにいる爆豪くんと一瞬目が合う
ここで万が一捕まればおそらくもうしばらくは自由になんてなれない

「行こう死柄木!あのパイプ仮面がオールマイトを食い止めてくれてる間に!コマ持ってよ!」

この場で動けない荼毘はコンプレスによりビー玉にされる
そして動けるヴィラン達の目が私と爆豪くんに向けられた
爆豪くんはこんな場面でも笑っていて本当にすごい

「めんっ…ドクセー」

「爆豪くん、助けれないよ…!」

「そりゃ俺の台詞だァ!」

一斉に襲いくるヴィラン
オールマイトはオール・フォー・ワン相手に戦っている
この場で私たちはオールマイトの足を引っ張っている

何とかしなきゃ

「雫ちゃん!」

「っ!?」

トガのナイフが頬をかする
その瞬間液状化して無傷で済むもすぐに解除して氷結を繰り出した

「カァイイね!お友達になろうよ!」

「(何コイツ…ッ!?)」

爆豪くんも上手く爆破を繰り返し攻撃を避けている

コンプレスに触れられたらまたビー玉にされる
それ以外のヴィランの個性は不明

「今行くぞ!!!」

駆け出したオールマイト
しかしオール・フォー・ワンがそれを許さない

「させないさ、その為に僕がいる」

気を抜けばやられる
ヴィランもなりふり構わなくなっている

一瞬体がふらついた

「(まずい、体内の水分がもう…っ!)」

どうして上手くいかない?

「(爆豪くんも私のことを気遣って戦っている)」

全部私のせいだ

「(だめだ、集中しろ)」

施設に行くまでの間、背後に迫った男に私が上手く反応できていたら

「(ちがう、そうじゃない)」

私が…私が…完璧じゃないから…!!!

「私の…せいで…」

心が折れかけた
その時、ヒヤリと空気が震える

間違えるわけがない、彼の個性の感覚にハッとした
途端、焦る気持ちが消え去って冷静さを取り戻す

空を横断するように飛び出してきた人
それが誰かを理解した私は爆豪くんに向かうヴィランを阻止するように彼の周りに氷の壁を作った

「ガキがァ!!!!」

邪魔されたことにより死柄木の手は爆豪くんへは届かない
爆豪くんが飛び上がったのを確認し、もう一仕事

体内の水分を全て使って空気中の水分を凝縮していく

"今度は私が助けるからね!"

そう告げた彼女が来るであろう場所を他の何者にも介入されないよう水の壁で覆う
まるでモーゼの十戒に出てくる海割りのようなその滑走路上、こちらへ飛んでくるのは私のヒーロー

「掴まって!!!!!」

伸ばされたその手を握った瞬間、唄ちゃんはトップスピードを出してその場を離れた









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