ヒロアカaqua


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3日目


昨日に引き続き個性強化の訓練を行う

「何をするにも原点を常に意識しとけ、向上ってのはそういうもんだ
何の為に汗かいて何の為にこうしてグチグチ言われるか常に頭に置いておけ!」

相澤先生のその言葉に水を飲みながら考える
私の原点とは一体なんだろうか

「(ずっと両親のためにやってきたけれど…)」

そもそも私はいつからヒーローになりたいと思い始めたのか
何でか小さい頃のことは思い出せない、というか訓練漬けの毎日だったあの期間が濃すぎるんだ

「海色!手が止まってんぞ!」

「あ、はい!」

ハッとして的に水泡を投げつけた

「ねこねこねこ…それより皆!今日の晩はねえ…クラス対抗肝試しを決行するよ!
しっかり訓練した後はしっかり楽しいことがある!ザ!アメとムチ!」

そう告げたピクシーボブにそう言えばそうだったなと思った
夜だし虫よけスプレー持っていかないととんでもないことになりそうで身震いする

「(あれ、というか唄ちゃんは大丈夫なのかな?)」

初日の土魔獣相手に最初はかなり怖がってたけど…

そしてその日の晩

今日は私は火起こし班
緑谷くんと一緒に薪を並べていく

「こっち終わったよ」

「うんありがとう」

今緑谷くんが並べている分で終わりだなと思い手元を眺めていると、通りかかった焦凍くんが彼に話しかけた

「オールマイトに何か用でもあったのか?相澤先生に聞いてたろ」

「ああ…っと…うん、洸汰くんのことで」

「洸汰?誰だ?」

「ええ!?あの子だよ、ホラ、えと…」

辺りを見渡し洸汰くんを探す緑谷くん
けれどその姿はない

「その子がさ、ヒーロー…いや、個性ありきの超人社会そのものを嫌ってて
僕は何もその子の為になるような事言えなくてさ、オールマイトならなんて返したんだろうって思って」

「(そっか、洸汰くんはヒーロー嫌いなんだ)」

「轟くんと海色さんならなんて言う?」

それを聞いて焦凍くんと顔を見合わす

「「場合による」」

「そりゃ場合によるけど!!」

私も焦凍くんも必要以上に他人のプライベートなことには首を突っ込まない性分なのでそう言われてぴんとこない

「素性もわかんねぇ通りすがりに正論吐かれても煩わしいだけだろ、大事なのは"何をした・何をしてる人間に"言われるかだ
言葉単体で動くようならそれだけの重さだったってだけで、言葉には常に行動が伴う…と思う」

「そうだね、確かに…通りが何言ってんだって感じだ」

「お前がそいつをどうしてえのか知らねえけど、デリケートな話にあんまりズケズケ首突っ込むのもアレだぞ
そういうの気にせずぶっ壊してくるからなお前、意外と」

「なんかすいません…」

思い出すのはあの体育祭でのこと
緑谷くんのおかげで焦凍くんは前に進めた、それってすごい事だと思う

「私は緑谷くんのそのお節介なところいいと思うよ」

「海色さん…」

「おかげで今こうやって素でいられてるわけだし…それにきっとある程度の図々しさは必要だと思う
これは私が持ってないからそう思うだけかもだけど」

緑谷くんが何か言おうとした時、私たちを見た飯田くんが手を動かせと注意してきたので会話を中断した






晩ご飯を食べ終わりいよいよ肝試し、強制連行された補習組を見送ってからルール説明を受ける

「はい、というわけで脅かす側先攻はB組
A組は2人1組で3分置きに出発、ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれをもって帰ること!」

「脅かす側は直接接触禁止で個性を使った脅かしネタを披露してくるよ」

「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」

順に説明していくプッシーキャッツの面々
失禁って…と思うけれど念のためトイレには行っておいた

くじ引きをすれば3番の文字
誰がペアだろうと思ってると爆豪くんが引いた紙に3の文字が見えた

「あ、爆豪くん一緒だね」

「チッ!おい唄代われ!」

「え…いや、私は構わないけど…私のペア轟くんだよ」

それを聞いた爆豪くんは私と焦凍くんを見て悩んだ後「テメェのがまだマシだ舐めプ野郎!と告げる
なるほど、どうやらかなり爆豪くんに嫌われたらしい

「じゃあ唄ちゃん一緒に行こっかー」

にこりとした私が唄ちゃんに抱きついて爆豪くんにニヤッと笑った
そのことに顔を引きつらせた爆豪くんが面白くて仕方ない

「(てゆーか唄ちゃんと回ればいいのに)」

まさか自分が唄ちゃんに好意があるって気がついてないんだろうか
だとしたらちょくちょく唄ちゃんの服装なんかにケチつけてるのは何なんだと呆れてしまった









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