ヒロアカsong


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オセオン国の夜空を飛行する軍用輸送ヘリの中で黒いステルスコスチュームに身を包み備え付けのモニターへ目を向ける
この場にはエンデヴァー、バーニン、オセオンのヒーローのクレア、クレアのサイドキック、そしてインターン生の私たち5人

『先日の無差別テロの犯行声明を出したのは"ヒューマライズ"
人類救済を標榜する指導者、フレクト・ターンによって設立された思想団体である
テロに使用された装置は個性因子誘発物質イディオ・トリガーを強化したものだと推測される
以後この装置を"トリガー・ボム"と呼称する』

先日世界各地で発生したガスによるテロ
それによって人々は個性が暴走し、駆けつけたヒーローでさえも個性を制御できなかったという
ヒューマライズは世界25か所に施設を有している大規模団体であるため団員は世界中にいる
いつどこで事件が起こってもおかしくはない

この非常事態に世界規模の作戦が行われることとなった
このモニターに映っているのはアメリカのニューヨークにある統括司令部からの通信だ
同時に世界中で作戦に向かうチームに流されている

『我々ヒーローチームの任務は世界25か所にあるヒューマライズの施設を一斉捜索
団員たちを拘束したのち、一刻も早く保管されている"トリガー・ボム"を確実に回収することである
施設では団員たちの抵抗が予想される、またトリガー・ボムを使用する危険も高く各国への協力要請は自粛せざるをえない
可急かつ速やかにこの任務を実行してほしい…オールマイト』

『ヒーロー諸君、この作戦の成否は君たちの双肩にかかっている
テロの恐怖に怯える人々の笑顔を取り戻そう』

統括司令部にいるオールマイトからの鼓舞を受け士気が高まる

私たちインターン生5人はこの日用に隠密用コスチュームを与えられていた
ここオセオンはヒューマライズの本部があるためその分慎重になる必要があるとのこと

コスチュームには顔を隠すようにフードが付いており、5人全員が装着する

『各ヒーローチーム…スタートミッション!』

その言葉と共にヘリのハッチが開きエンデヴァーが飛び出した

「Aチーム、トリガー・ボムが爆破される前に確実に回収するぞ!」

エンデヴァー、バーニンに続き、クレアがサイドキックの背に乗って飛び出した後、勝己と私が飛び出した
後ろから出久と轟くん、雫ちゃんも飛び出してくる

急降下しながら眼下に見えるヒューマライズの建物を見る

「あれがヒューマライズのオセオン本部…」

出久の呟きに轟くんが応えた

「俺たちBチームの任務は施設の制圧とボスのフレクトってヤツの確保だ…油断するな」

「了解」

「誰にモノ言ってんだ、ああ!?」

Bチームの私たち5人
雫ちゃんと勝己が返事をしてから加速する
私も背中の羽を広げ急降下していく

着地はせずに建物へ向かえば入り口近くの団員が慌てた様子で向かってきた

「と、止まれ!!」

「許可なく立ち入りは…」

「抵抗すれば容赦はせん!!」

エンデヴァーが一喝して建物内に踏み入った
私たちもその後に続く

Bチームも2手に分かれ進んでいく
私は出久と一緒だったのでフレクト捜索チームだ
前にいるプロヒーローと共に建物内を駆ける

『Bチーム、フレクトは!?』

「まもなく突入する!!」

『確保次第トリガー・ボムの在処を訊き出せ!!』

「了解!」

通信で聞こえたエンデヴァーの声のトーンからしてクレアの透視の個性でも見つけられなかったんだろう
事前に頭に入れておいた地図を頼りに執務室前へたどり着いた

中へ入り、交戦になるであろう状況に構える
けれどそこには誰もいない

「くそ!指導者不在、周囲の捜索を!!」

ヒーローが無線でそう伝える中、がらんとした部屋にあるヒューマライズのシンボルマークを見た私は拳に力を込めた

その後、通信で知ったけれど25か所全ての施設でトリガー・ボムは発見されなかったらしい
動きを読んでいたかのような相手の出方に困惑だけが広がった




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ーーー




翌朝



買い出しに出た出久と勝己と轟くん
私と雫ちゃんも別行動でクレアさんに頼まれたものを購入していた

「これも買ったしこれもでしょ…あとはー…」

メモを見ながら紙袋の中身を確認していく雫ちゃん
幸い雫ちゃんは英語ペラペラだし、私も海外に連れて行ってもらうことが多かったのでそれなりには聞き取れるし話せる
買い物だってへっちゃらだ

「うん、全部揃ってる」

「よーし、任務完了ー!」

せっかくだから帰りながら何かご当地グルメでも食べようと辺りを見回すと、美味しそうなパン菓子を発見しテンションが上がってしまう

「雫ちゃん、これ買おう!ね!?」

「もー…唄ちゃんてば」

困ったように眉を下げた雫ちゃんが仕方ないと言うように頷いたので店員さんに声をかけ2個購入した
近くにあったベンチに腰掛けそれを食べながら思い出すのは昨晩のこと

「それにしても待機って…」

「びっくりだよね」

本当なら昨晩で任務完了
もう今日の夕方には飛行機に乗っているはずだったのに指令部から出たのは待機の指示
おそらく今頃向こうで作戦をいつ開始するか試行錯誤中なんだろう

急遽待機になったこともあり、食糧やらなんやらが必要になったことで私たちが買い出しに駆り出されたわけだ
ここへや制服かコスチュームしか持ってきてないのでいつものコスチュームを着て街中を歩けばとても賑わっていて活気に溢れた街だ

「そろそろ向こうも買い出し終わった頃じゃない?」

「そうだね、電話してみる」

雫ちゃんが轟くんに電話をかけるけどどうやら繋がらないらしい

「何かあったのかな?」

「いやいや、まさか」

ここはオセオン
日本と違って勝手にヒーロー活動していいわけじゃないし、それに今の私たちはエンデヴァーとクレアから重要な買い出し任務を与えられている

「ヴィランでも出ない限りは飛び出したりしないでしょ」

「だ、だよね…まさかね…」

そう言った私達は互いにあははと笑い合う
けれど、傍を駆けていく人が「さっきのヒーローかな?」と告げたので顔が引きつった










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