ヒロアカsong


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第3試合が始まる前
少し休憩を挟んでいる私たち

ふと目に止まったのは少し離れたところでオールマイトと話す出久の姿

「(いや、あれバレるでしょ)」

ワン・フォー・オールのことを話してるんだろうけどバレバレすぎるので勝己と呆れながら近づいた

「オイ」

「わぁあっちゃんびっくりした!」

ギョッとした出久

「てめーら人に守秘強要しといてバンバンコソコソしてんじゃねェぞ!」

「そうだよ、バレるよ?」

「ムム」

「ムムじゃねェよ!!」

勝己の言う通りなので呆れてしまう
逆に今までバレてなかったことがすごい

「何かあったんか、ワン・フォー・オール」

勝己のその問いかけに答えた出久曰く、寝てる時に急に暴発したらしい
自分でもよくわかっていないようでそれをオールマイトは心配してるそうだ
あと体育祭で心操くんと戦ってる時にも歴代継承者の面影が見えたとか
だから5戦目で戦う時に気をつけるようにということらしい

「ハッ、成長してんのか後退してんのかわかんねェな!
いつになったらモノにすんだ?あ?てめーとやった時より強くなってんぞ俺ァ」

「それは…焦る!」

頷いた出久は少し嬉しそうに笑ってる

「何笑っとんだ!そういうのがマジでイラつくんだやめろくそが!!」

「(わー、じゃれてるー)」

にこにこと2人のやりとりを見守っていると、3回戦が開始するようなので響香ちゃんの元に戻る

「海色大丈夫かな」

「雫ちゃん?どうして?」

いつも冷静で強い雫ちゃんに何か心配するようなところがあったかな?と首を傾げると響香ちゃんが指差したのはモニターに映るB組の女の子

「闇舞って海色のこと敵視してるって噂あるから」

「え?」

それは初耳だった
雫ちゃんは温厚で誰に対しても優しいし敵はつくらないタイプだと思う
それなのに敵視されるなんて何かあったんだろうか

不安に思いながらも試合スタート

『小細工無用!来いや死ようぜ真っ向勝負!!!』

開始直後施設を破壊していく鉄哲くん
あれ、さっき2戦目で被害は最小限って話じゃなかったっけ?

そうこうしている内にB組の元へA組が到着した

一瞬で氷結を放った轟くん

「相変わらずぶっぱが強ぇ!ズルイ!!」

「でも視界遮っちゃう氷塊じゃないよ、改良しとる」

お茶子ちゃんの言う通りだ
凄まじい出力でも扱いを変えればまだまだ上を目指せる

『氷の方向に轟!他は!!』

骨抜くんが地面を柔化させてても氷結で覆ってしまえば問題ない
動きが鈍ったところを一網打尽にするという作戦だろう
その作戦のため飛び出したのは機動力の高い飯田くん
レシプロバーストで一瞬で詰め寄る

『来いやあ!!!!』

鉄哲くんは受け止める気だ
けれどたどり着く前に骨抜くんの柔化で氷結が柔らかくなってしまった

『氷結ぶっぱは安い手じゃん、もっと非常に火攻めか海色の津波で来られたら打つ手なかったのに』

氷結で身動きが取れなくなる前に発動した骨抜くんの柔化
それは周囲の足場も柔らかくしたようで尾白くんがバランスを崩した

『尾白は俺が相手する!!』

即座に尾白くんへ飛びかかった回原くん
身体中がドリルののように回転するそれを受けた尾白くんが傷ついていく
慌てて飯田くんが助けに向かおうとするけれど彼は柔化された氷結に沈んだ

『俺たちの連携を断つ気か!!おのれヴィラン!狡猾なり!!!』

役に入り込む飯田くんにどこまでも真面目だなと呆れていると、角取さんの角が障子くんを捕らえた
轟くんの後ろにいたけれど引き離すように吹き飛ばされた障子くん
そちらに気を逸らした轟くんの氷結をブチ破った鉄哲くんが彼を押さえ込んだ

『角ダッシュハンマー!!!!てめェよォオ!冷てェんだよなァオイ氷がよォォ!!!
てつてつがきんきんだよ轟ィ!!ステゴロでてめェよォなァ!?俺に勝てるかァ!!?』

「鉄哲のヤロー、俺の反省点速攻クリアしやがった」

「いや、考えてないっしょ
そこまで骨抜が流れ作ったよ」

さすが推薦入学組
骨抜くんの柔軟さはすごいなと思っていると今度は雫ちゃんが飛び出してきたそれを防いだのは闇舞さん

『アナタの相手はアタシよ!!』

雫ちゃんの個性を吸収し、上乗せされた威力で放った技
そしてすかさず雫ちゃんを轟くんたちから引き離した

「うっわ、分断された」

チームで挑もうとしたA組を分断させたB組
上手い展開に感心しつつも気になったのは飯田くん

氷結に沈められていた彼はその状態のまま加速する
新技、レシプロターボ

『レシプロの馬力を底上げし尚且つ掛かる燃費は最小限に!!10分だ!!
10分!誰も俺を止められない!!ただし!速すぎて制御しきれない!!』

一瞬で骨抜くんの背後をとった飯田くん
その速さにモニター越しでも目で追うのが大変だ
骨抜くんは飯田くんと戦うことを避け離脱、残された飯田くんは尾白くんと戦う回原くんを掴み牢へ向かった

そして同時に行われている轟くんと鉄哲くんの戦いも動いていた
氷結をものともしていない鉄哲くんに轟くんが苦しめられる

「氷効かねェのにブッパとか雑魚の動きだ」

轟くんに対抗心を抱く勝己の勝ち誇った表情をスルーして様子を見守れば轟くんが炎を繰り出した
けれど鉄哲くんは炎をものともしていない

『何で俺がてめェの相手してっか!!わかってねェなァア!?効かねェからだよ!
今度ァてつてつがチンチンだよオイ!!!』

距離を取りたいはずのA組にそれを許さないB組

『個性伸ばしの一環よ!!てめェ竈で暮らしたことあるか!?』

普通ないよと心の中でツッコミを入れた

「鉄哲!轟を捕らえて逃さない!!圧倒的な近接に範囲攻撃も出す暇なし!!」

『半冷半燃、俺には効かねェ!これが限界を超えて手に入れた俺の最鋼峰!!!』

押され気味な轟くん
それに引き離された雫ちゃんも闇舞さんに個性を吸われ打つ手がなさそうだ

「うおぉー!!闇舞いいぞ!海色を完全に封じた!!!」

「「「偏向実況反対!!!」」」

ブラドキング先生の隠すつもりのない実況にA組一同が文句を言う
でも確かに轟くんも雫ちゃんもかなりまずい

と、闇舞さんの拘束を解いた雫ちゃんが体術勝負へ持ち込まれる
確実に急所を外すように立ち回っているけれど避けきれない様子だ

「雫ちゃん…!」

と、その時モニターの轟くんを捉えていたカメラにノイズが走る
鉄哲くんに押さえ込まれていた轟くんがエンデヴァーの火力を出している

『我慢比べは得意だぜェ!!さらに向こうへぁあ!!!!』

近づくだけで苦しいはずなのに鉄哲くんは轟くんへ向かっていく
近接戦なら鉄哲くんに分がある

『訓練で命懸けねェ奴ぁ本番でも懸けらんねェよ!!格上と限界は超えるためにある!!』

『うるせェな』

ドンっと勢いを増した炎に見ているこっちまで手に汗握る

『いいの!?それ体力消耗するんでしょ?いつまで持つかしら!!』

轟くんの炎に気がついた雫ちゃんが闇舞さんの攻撃を受ける箇所を全て液状化して無効化していく

「あれってめちゃくちゃ疲れるはずだぜ!」

瀬呂くんの言う通り雫ちゃんは既にフラフラだ
空気中の水分を操るのも体内の水分が関係する
その上、体内の水分を変化させるのも使えば使った分だけ減ってしまう

液状化させるということはHPをどんどん削っているのと同じだ

「雫ちゃん…っ」

すると彼女は闇舞さんを抱え込むように絞め技をかけた
インターン中にギルティルージュから学んだ技

直後、闇舞さんを覆うように大氷結が繰り出される
辺り一帯を凍らせたそれに目を奪われていると、轟くん、飯田くん、骨抜くん、鉄哲くんが一斉ダウンしてしまった

「これは…!全員ダウン!!!?
一気に4名ダウン!!しかしまだ!牢に入るまでは戦線離脱にはならないぞ!!どうなる!!」

角取さんと障子くんは今だ戦闘中
動けるのは雫ちゃんだけ

すぐに闇舞さんを投獄しようと氷結に手を伸ばした雫ちゃん
けれど闇舞さんはその油断を見逃さなかったようで、攻撃を受けた時に吸収しておいた大氷結を雫ちゃんに放出した

「海色ダウンーーー!!!闇舞と海色は氷結で動けない!!
角取ーーーー!!お前に懸かっているぞぉおお!!!!!」

その後角取さんは障子くん相手に撒くことも投獄もできず上空へ避難
障子くんがB組メンバーを投獄できないように骨抜くんと鉄哲くんを連れている

手出しができないまま20分の時間経過で引き分けとなった










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