第11話

窓際で涼みながら、機嫌よく口ずさむ。
頬にあたる風に秋の気配が忍び寄っているのを感じられるようになった。

隣には、眠そうにあくびをする恭弥。
今日も平和だ、と
窓の外を眺めていると何か変なものが視界に入った気がして、校舎裏に目をやる。
風委委員さんに殴られて地面に伏せている3人組。
何となく、既視感?

「恭弥、あれ救急車呼んどく?」
「いいよ、のせてもらえる程じゃない」
「そっか〜」

ならいいや、と視線を恭弥に戻す。
申し訳ないが、いちいち心配してたらキリがない。

「仲良し委員会は目障りだ」

そう零した恭弥の言葉に納得する。
そういえば今日は学期始まりの全体委員会だったか、と。

ということは今頃、リボーンが恭弥に目をつけている頃かな。
これは恭弥の機嫌がよくなるぞ、と鼻歌を再開させた。

お昼休み、今日は特に仕事がないので
ギターのチューニングを片手間に、ソファで恭弥とのんびり雑談。

「恭弥、今日の晩御飯何がいい?」
「炊き込みご飯食べたい」
「いいね、何入れよう」

頭の中でレシピを浮かべていく。
栗はさすがに気が早いかなぁ。

ポロン、とギターの音を確かめるついでに歌う。
「大きな栗の〜木の下で〜」
「…変な子」

ソファの背に腰掛ける恭弥が呆れたように笑った。

と、ガチャリ、と応接室の扉が開く。
お客様がお見えのようだ。

「へ〜こんないい部屋があるとはね」

ついに生の山本武ボイスを聴けた。

「!」
「君 誰?」

恭弥が問いかける。
入り口には、山本武と獄寺隼人の姿。

「なんだ、あいつ?」
獄寺隼人が不満そうに言う。

「獄寺、待て…」
山本武はやっぱり恭弥の存在を知っているようで、少し焦った顔をしている。

目の前で見ると二人ともやっぱりイケメンだなぁ。
緊迫した空気をよそに、のんきに観察する。

「タバコ消してくれる?
ま、どちらにせよただでは帰さないけど」

この一言をきっかけに、獄寺隼人がキレた。
「!!んだとてめー」

――ビュッ

「消せ」

風を切る音ともに、恭弥によってタバコの火が消される。
煙いのでその点は賛同します委員長。

そのスピードに驚いた獄寺隼人が距離を取る。
「なんだこいつ!!」

チャキリ、とトンファーを構える恭弥。

「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入ると、

咬み殺したくなる」

恭弥の気がピリつくのを感じた。

ごめん二人とも(とツナ)、いま彼の邪魔をするわけにいかないのだ。南無三。
ギターをそっと膝からおろして傍観する。

「へーはじめて入るよ応接室なんて」
ふわふわ頭の沢田綱吉が入室した。

「まてツナ!!」
「え?」

――ガッ

「1匹」

ドザァッっとツナの身体が壁際まで吹っ飛んだ。

2匹、3匹、と次々となぎ倒す恭弥。
圧倒的なんだよなあ。

「あーいつつつ…」

と起き上がったツナが驚愕して友人の名を呼ぶ。
「ごっ…獄寺君!!山本!!なっなんで!!?」

「起きないよ、2人にはそういう攻撃をしたからね」
「え゛っ」

「ゆっくりしていきなよ」
恭弥が嗤う。
青ざめて慌てるツナと目が合った。

「救急車は私が呼ぶよ」
ニコッと笑っておいた。もちろん冗談だよ、大丈夫大丈夫。

「な゛ぁっ!ちょっ!!」
心なしか更に顔色が悪くなったツナ。
こんな子が、ここから著しい成長を見せるのだから凄い。

「!」

と。キリキリと窓際に降りてきた赤ん坊が銃を構えている。

リボーンだ。

彼の手によって、ツナやみんなは成長していく。
私も恭弥の隣にいたいなら、頑張らなくてはならない。食い入るようにリボーンを見つめる。

「死ね」
ズガン、という音ともに死ぬ気弾がツナに打ち込まれた。

人が変わったかのように、起き上がった裸のツナが雲雀さんに殴りかかる。
うーん、怪奇現象なかなかの迫力。

「何それ?ギャグ?」
ツナのパンチを避けて、トンファーで顎を一撃。
ナイスカウンターです師匠。

「アゴ割れちゃったかな。
さーて、あとの2人も救急車にのせてもらえるぐらい、グチャグチャにしなくちゃね」
「恭弥、うしろ」
「ん?」

一応告げ口するが、遅かったようだ。

「まだまだぁ!!!」

――ゴッ

「タワケが!!!」

パカァン、とレオンのトイレスリッパで恭弥の頭がはたかれて、ふらつく。

恭弥が殴られる姿なんて初めて見たが、分かっていた展開とはいえ、

「ちょっと気分悪いなあ」
自身の目が据わるのを感じた。

「ねぇ…殺していい?」
恭弥も本気になったのか、先程とは比べ物にならない気を放っている。

「そこまでだ。やっぱつえーなおまえ」
リボーンが声をかける。

そこでハッと気づいた。私は来る爆発に備えなければ、とギターやパソコンを片付ける。

「君が何者かは知らないけど。僕今イラついてるんだ。
横になってまっててくれる?」

――ギィンッ

恭弥の気の立った攻撃を、小さな体と腕であっさり受け止めるリボーン。
やはり規格外だ。

「ワオ、すばらしいね君」
「おひらきだぞ」

ヂヂヂヂヂ、と爆弾が投げ込まれる

「!!」
「…っ」

予めロックを解除しておいたエアトレックで全力で踏み込んで恭弥を掻っ攫い、ソファをバリケードにして退避した。
私が助けなくたって恭弥は大丈夫だろうけど、私の自己満だ。

―――ドガァン

破壊用のガチ爆弾というより煙幕に近いが、爆風と煙で部屋が大変なことになる。

「ゲッホゲホ…」
煙を思いっきり吸い込んでしまって咽った。

「あーあ、部屋がぐちゃぐちゃだ…」
ちょっと恨むぞリボーン。

「パソコン隠すのはさすがだね」
そう言いながら、乱れまくった私の髪を恭弥が手櫛で整えてくれた。

とりあえず風紀委員の方たちに連絡して、片付けを手伝ってもらうことにする。

「あの赤ん坊また会いたいな」
部屋の惨状なんて気にも留めず、機嫌よく恭弥が呟いた。

初めまして、
Written in these walls are the stories that I can't explain



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