会話文・短文(GO) (タイトル一覧)
節操ありませんので注意

子供の歌(12/02/21)
「なんか、さ……」
 影浦が黙ってこちらを見る。言いかけた言葉をしまって薄く開かれた唇に応えた。
「……最近変」
 腰に手を這わせるとびくりと身体を跳ねさせた。抗おうとする手をはたいてユニフォームの裾を捲ってやる。
「な、三重内」
 僕は答えなかった。お前は変わってしまったんだね。乱れた髪を捕まえてやる。
「女みたい」
「……」
「聞いてる?」
 気に障ったのだろうか。
(三重内と影浦)
(大人の指→)



テオブロミン(12/02/15)
「2つずつはあるだろう」
 差し出された浅い箱の中で銀や金の包みが転がっている。僕たちは顔を見合わせ、ありがとうございますと口々に言って箱に手を伸ばした。
「チョコレートにはドーパミンという成分が入っていてな。これはいわゆる快楽物質で」
「あっ一個落とした!」
「何やってんだよー」
「僕ホワイトチョコ苦手」
「金は普通のやつだよ」
「他にも気持ちを落ち着ける効果が……」
 聞いてないな、というような顔をして監督はチョコレートに群がる部員の顔を眺め始めた。
 僕は金の包みを広げる。丸いチョコレートを口に含んだ。僕は聞いてるのにな、なんて思いながら。
(冴渡と栄都)


歪みアイエヌジー(12/02/06)
 ヤオチョーを持ちかけた、と。やけにのろのろと綴られた字が目に刺さった。それから彼はすっと顔を上げて許しを乞うように僕を見つめる。
「……なんで?」
 ママが、と書いた字がぐしゃぐしゃと消された横にお母さんが、と書かれ、続けて雷門中のキャプテンの名が並んだ。
『内申が』
 続きを書こうとした手を取る。からりとシャーペンが落ちた。
「黙っててあげる」
「あ……?」
 じゃあ、と発せられた彼の声を聞くのは随分久しぶりな気がした。彼は胸ポケットから紙幣を取り出し、僕に差し出した。
 それじゃあママと同じだよ、なんて言ったらきっと彼を泣かせてしまうのだろう。
 僕はそれを受け取った。使う気なんて毛頭ない。ズルを重ねたら何になる? 誰も教えてくれない。
(雅岡と一筆)
(筆談)


きっとまた、ね(12/02/01)
「ね、ね。監督」
「あら、なあに?」
「彼氏いないのー?」
「うふふ、そんなこと知ってどうするの?」
「うっ……目が笑ってない……」
「デリカシーがないわよ。早く練習に戻りなさい」
「僕彼氏になろうか?」
「10年早いわ」
「じゃ、10年経ったら迎えに行くからね。路子ちゃん?」
(生意気なガキねえ……。)
(西野空と観月)


大人の指(12/01/30)
※栄西×影浦 ちょっとだけ性描写

裏表のあいだ(12/01/30)
「じゃん」
「……」
「ポニーテール! 服呂にやられた! しかも輪ゴムで」
「……」
「なんかツッコめよ」
「何を」
「イイ線いってね?」
「需要があると思ってるなら本気で殴るよ」
「だー! せめてなんか一言あったっていいだろ!」
「影浦……」
「イヤよ! 今夜だけは透子って呼んで……っ!」
「かわいい」
「……は」
「これで気が済んだ?」
「……気持ち悪い、とかでも、よかったけど」
「別に気持ち悪くは」
「やだあ! 光太ちゃん愛してる!」
「やっぱり殴らせて」
(影浦と三重内)


仕方ないよ(12/01/27)
 互いに口ずさむ。呪文にもならない言葉を。
 こわいんだ。
 うん。
 僕たちは口ずさむ。
 ただ弱さだけを。
(一乃と青山)


悪魔だったの(12/01/25)
 ねえ、あなた、あの人の一番になりたいのね。少し背が低くて、でも勇気のあるあなた。
 私もそうなの。あの人の一番になりたくて。でも私はあの人そのものだから。
 私はあの人だから。だから分かるの。あの人の一番はあなたじゃない。そして私でもない。
 私はあなたの想いに気付いてしまった。いずれあの人も感付いてしまうかもしれない。頑張って秘めるわ。安心して。
 私はあなたとお話しすることもできない。抱き締めることくらいはできるかもしれない。でもそれじゃあ、嬉しくないのよね。
(ダラマンガラスと幸恵)


曖昧で壊れる(12/01/21)
「兄ちゃん」
「ん?」
「幻一」
「うん?」
「幻一って呼びたい」
「なんで?」
「嫌なの」
「影二がそうしたいならいいよ」
「幻一」
「ん?」
「兄弟やめちゃおうよ」
(影二と幻一)


亡霊が並ぶ(12/01/20)
「おや」
「あら」
「これはどうも」
「……この間の練習試合ではお世話になりました」
「彼らにはいい経験だったでしょう」
「あら、どういう意味です?」
「負けから学ぶことは実に多い」
「ふふ、実感がこもってますわね?」
「嫌味な人ですねえ、貴女は」
「そうでもないとやっていけませんもの」
「やれやれ、いつから狂ったんだか」
「分かりませんか?」
「分かっていますとも。守りたいものは同じだ」
(栄西と観月)

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