会話文・短文 (タイトル一覧)
節操ありませんので注意

宝だから(12/07/24)
「絵に閉じ込められちゃったみたい」
「何だよそれ」
「褒めてるの」
「似てるってことか?」
「うん。僕、こんな顔してるんだ」
「まあ」
「……」
「まだ途中だからあんま見んなって」
「絵嶋くんそっち僕じゃない」
(白間と絵嶋)


優しくなんかない(12/07/09)
「チャッ、じゃないわ。鳩目」
「うん」
「あんた、さ。気付いてるの?」
「何が?」
「朱ちゃんよ」
「僕の勘違いじゃなければ」
「え! で、どう、どうなの? 朱ちゃんどう? いかが!?」
「うーん、それは君に言った方がいいの?」
「教えてよ」
「どうして君がそんなことを言いにきたのか教えてくれたら、かな」
「こっちは言わない。でもあんたは言って」
「君に聞かせる話じゃないよ」
「ゆ……」
「?」
「ゆるさないから……振ったりしたら、ぜったい」
「君が決めることじゃないよ」
(維子と鳩目)


回る回るかわる(12/03/23)
「……はあ」
「どうしたの。ため息なんかついて」
「お前邪魔」
「はあ? 何いきなり」
「邪魔なんだよ。邪魔邪魔邪魔」
「だからなんで」
「邪魔すんな」
「何それ」
「表現したいものが」
「うん」
「お前だけになったら……笑ってくれ……」
「……何それ」
「あとピンクの絵の具奢れよ……」
「それは嫌」
(絵嶋と白間)


あなたなんです(12/02/27)
 背が高いなあ。俺が小さいだけか。
 帽子のつばをぐっと下げて枯れ葉が走る地面を見つめる。
 あの人の手が頬にぺたりとつけられて、俺は顔を上げるしかなくなった。
「お前さ、なんか言いたいことあんじゃね?」
 あなたをどうこうしたいです。それが夢です。
 でも言ったらあなた、笑うでしょ。
(善水とドリーム)


ぬるま湯に浸る(12/02/24)
「お、おわあああ」
「そこにかけてくれ」
「広っ! ひっろ!」
「そうか……」
「ベッドでかい!! ダイブしたいー!」
「構わない」
「えっ。服に泥とかついてないかな……おおっしゃあああ! だあああふかふか! ふっかふかや!」
「それはよかった」
「あー、体が溶けてまう……」
「……え」
「ん?」
「それは困る。早く降りてくれ」
「真面目……」
(黄整と紫頭)


神隠し(12/01/02)
「ふふ」
「なんだぁ? それ」
「ボタンがたくさんついてるんだ」
「そんなの見たことねえ」
「人間の世界で拾った」
「ふうん」
「あ、音が鳴った」
「……」
「気になるの? はい」
「気にならねえよ!」
「あれっ」
「なんだよ」
「君が映ってる。ほら」
「……お前の手が映ってるけど」
「えー? ほらやっぱり君が映ってるよ。見て」
「……だからお前が映ってるって」
(エルフェルとメフィスト)
(携帯電話)


ベリー苦しみます(11/12/24)
「メリークリスマース」
「あ、鹿内くんだ!」
「いいや、違う」
「サンタの帽子だー」
「ふっ、愛くるしいトナカイちゃんよ」
「いやシカだよ! 突っ込んじゃったよ僕としたことが! もう!」
「気分だけだっつの」
「人間に擬態してるんだね」
「歯に着せる衣プレゼントしてやろうか」
(シカと華吹)


名を枯らす(11/12/12)
 彼はなかったことにしろと言うのだ。僕が彼と会ったこと。その他なにもかも。
 人に戻った、とそれだけ告げて彼は電話を切った。虚しく響く音をぶらさげてストラップが小さく揺れる。
「シカくん」
 僕は祈った。彼がそうしろと言ったのだから。それでも、思い出そうとした。頭の良さそうな。
「……」
 頭を抱えて目をきつく閉じた。頭の良さそうな響きだった、気がする。そんなことをぼんやり思い出しただけで、僕はあれほど反芻した彼の名前を忘れてしまっていた。
(中谷とシカ)


指先の恋(11/10/18)
 僕のことが気になるだろう、と言うので首を横に振った。避けこそすれ、気になんてなるはずがない。
「嘘つきだね」
 気にならない。気に入らない。
 彼はもう何も口にしなかった。言わなかったがきっと見抜いていた。
 僕は頬に手を当てた。朝の空気で冷えるのを待った。こうやって新しく、当たり前に、僕の世界は変わっていく。
(中谷とクール)


非接触(11/10/11)
 仲がいいと言われる。そう見えるのならそうなのかもしれないが、そう見えるだけであってそうでないのだと諭されたら、俺はそのときたとえ垂涎ものの美女が「私ノコトキライ?」とたわわな身体をしならせながら擦り寄ってきていたとしても全力で首を縦に振るだろう。きっとそうではないのだ。あと全力はやめておこう。80パーセントの力で。
 肩に触れようと手を伸ばした。このあと彼の身体がびくりと跳ねることを俺は知っている。いつだって線を置かれてしまう。仲がいい。そう見えるかもしれない。
「……俺が怖いかよ」
 困った顔をするな。簡単なことだ。俺を美女だと思え。ただ首を横に振るだけでいいから。
(シカと中谷)

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