(可憐さんと周辺の方々との絡みとか、なんでもない小さなお話シリーズ。会話だけ的な感じが多め。)



洗濯もの。







一週間降り続いた雨が止み、朝から晴天の日。寝室の窓から見える青空が寝ぼけた目に入るとすぐに目がはっきりと覚めて隣にいた七海を可憐は起こす。




「建人、建人!」
「...なに、まだ早いんじゃ、」
「6時!」
「今日休みだろ...」
「ねぇ、晴れてる!晴れてるよ!洗濯しよ!たくさんしよ!洗濯!!」
「...あぁ、干すのやるから、回してくれ、」
「よしきたっ」
「....もう少し寝ても、?」
「ん?あっ、いいよ。洗濯まわしてくる!」





ドタバタと寝室を出て遠くから洗濯機の操作音がする。その後しばらく寝室に戻る気配がなかったので七海はまたベッドの中で意識を飛ばした。













「おっはよ。」
「...あれ、洗濯もの干してくれたのか」
「うん、洗濯干すの好きだし、天気いいし。この家バルコニー広いから干してるの気持ちいいから好きなの。
でもごめん、当番だったけど朝ごはん作ってない」
「いいよ、私が作るよ」
「やったね」
「それにしても晴れたからって起こされたのは初めてだったな」
「えー、だってずっと雨だったじゃん。」
「まぁな」
「雨の中の任務もやだし、雨の中の授業もやだし、そもそも雨がいや」
「あまり雨を好きな人もいないんじゃないか」
「でもずっと晴れてるとたまには雨降れって思うよ」
「...天邪鬼だな」
「ははっ、たしかに」



ソファで珈琲を飲みながら、リビングの大きな窓から外を見つめる可憐は何処か穏やかな顔をしていた。最近は二人とも仕事がずっと忙しく朝早くに顔を合わせて、夜はどちらかが寝てる時に帰宅することも多く、そこに雨が続いていて何となく彼女の気持ちは暗かったのかもしれない。








「あー、たくさん洗濯してスッキリした。ついでに洗濯槽まで洗浄してきっと洗濯機も喜んでるな」
「朝からありがとう。」
「いえいえ、朝からできればフレンチトーストが食べたいです。」
「...はいはい。」
「いちごジャムを乗せてください。できれば。」
「...ジャムはないがいちごならある」
「やった!」
「今日は、何処か行くか?」
「んーーーー。天気いいからお昼は外で食べよ、テラスが気持ちいいお店なんか知らない?」
「後で少し調べてみるよ、」
「ふふ、ありがとう」








飲み終わった珈琲カップをキッチンに置いてから、リビングの窓を開けて冷たい風を身体に感じながら可憐は伸びをする。



「可憐」
「ん?」
「好きだよ」
「....ふふ、天気がいいと建人も機嫌いいのね」
「なんだそれ」

キッチンに立ち朝食の準備をする彼の元へ可憐は歩み寄ると、後ろから抱きついた。






「どした?」
「やっぱり、私も一緒に作る」
「ん、じゃあ冷蔵庫からいちご出して切って」
「はーい。ふ、建人胸板やば、」
「離れないといつまでも朝ごはんできないぞ」
「髪、セットしてないと前髪目に入りそうね」
「そんなことないだろ」
「前髪結んであげよっか?」
「いいから、ほら早くいちご。」
「はーい、」
「...牛乳もとってくれるか?」
「ん。後たまご。」
「ありがとう」
「なんか、あれだね息あってきたね」
「..そうだな」
「今なら任務一緒に行ったらなかなか活躍できそう。」
「まぁ、確かに。」
「そんな嫌そうな反応しないでよ、例え話じゃん」
「私は任務に積極的に行くのは未だに完全に賛成って訳じゃないからな、」
「心配性なんだから。後輩のくせに」
「教職、向いてると思うからだよ。」
「え?」
「任務に行くより授業しに行く方が楽しそうだしな」
「そうなのか..。まぁ確かに任務は楽しい気持ちでなかなかいけるものでもないしね」
「まぁどちらかに絞るのは人員的にも厳しいだろうから、口うるさく言わないよ。」
「あら、優しいダーリン。」
「...やめてくれ。」
「はい、いちご。お皿も出したから椅子に座ってるね」
「ん。」







二人分の水をグラスに入れて、カトラリーも並べて、先にダイニングテーブルの定位置に腰掛けると可憐はキッチンでフレンチトーストを焼く七海のことを見る。











「ねぇ、建人。好き、」
「....ありがとう。」
「照れんなよー」
「ほら、できたぞ」
「いえーい!」









洗濯もの。
朝7時、なんだかいい気分






「今日、新しい珈琲豆買いにいこ?」
「あと、食パンもな。」











fin






天気の良い日にきっと、七海さんのお家には綺麗に日差しが入り込む気がして書きました。






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