REVOLVE! | ナノ
パシン

乾いた音だなんて比喩されるけど、本当だよなあとぼんやりと思った。私を叩いた張本人は満足げな顔をして、取り巻くオトモダチと一緒にわあわあと文句を言って去って行った。


「痛い」


じんわりと熱を持った右の頬に手を当てると、急に痛みが湧き上がる。頬を押さえたまましゃがみ込んだ。

彼女達が私を敵視?するのには理由がある。それで私を雨の中にさらし続けてびしょ濡れにさせて殴るなんて、納得できるものではないけど。彼女達の言い分はこう。彼女達はコタや銀時や晋助や辰馬が好きで、いつも一緒に居る私が邪魔で邪魔で仕方ない、と。つまりは嫉妬ってやつですよ。

でも、実際の所を彼女達は知らないのだ。今の私達の間に流れる、なんとも言えない空気とか、居心地の悪さとか。


「あれ、何してんの美月」

「銀時、晋助」


声に顔を上げると、角から銀時と晋助が出てきた。ああ良かった。あんな場面見られたら堪らない。それに余計ややこしくなりそう。


「なんでそんな濡れてんの」

「水も滴るいい女でしょ?」

「なにバカな事言ってんだよ、風邪引くぞ」

「それもいいかも」

「ハァ?」


そしたらアンタ達に会わないし、あんな気分にもならないかもしれない。


「え、ちょ、それどうした」


立ち上がった私の頬の赤みを目ざとく見つけ、銀時が腕を掴む。


「何かなってる?」


とぼけたって無駄みたいで、銀時の掌が腕を掴む力を強めた。晋助の眉間にも皺が寄る。


「離して、痛いよ銀時」


緩くなった力に腕を抜き、精一杯の作り笑顔。


「私、今日帰る。びしょ濡れだし。じゃあね」


二人が何か言いたげに口を開いたけど、言葉が出される前にその場を走って逃げた。逃げた。私は逃げたのだ。

だってそんなのずるいよ、自分達は何か隠してるくせに、私のことは放ってくれないの?



【8:ぬかるみにかたあし】


みじめだ、



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