美月が学校に来なかった。俺たちの誰にも連絡無しで。この数年間でこんな事は一度も無い。ヅラは慌てて美月の家に行こうとしたが銀時がそれを止めた。4人で教室を出て、屋上に座り込む。ここなら誰にも邪魔はされねぇ。 「お前等、態度に出過ぎ」 呆れたような銀時の台詞に、ヅラも辰馬も口を閉じた。思い当たる節があります、というように。 「美月はお前らが変だからって、最近様子おかしかったんじゃねーの?」 「変、」 「何だよヅラ、気付いてなかったのかよ」 銀時の言葉にヅラの視線が落ちる。自分達のことでいっぱいになって、周りなんか見えちゃいなかった結果がこれだ。俺や銀時もそれを分かってて放置してたから同罪か。 「わしのせいじゃのう、」 それまで珍しく黙っていた辰馬がポツリと呟いた。 「おんしらも知っちゅうんじゃろ。わしが、」 その先はなかった。コイツが続きを言わなくても、ここにいる全員が分かっていたし、コイツもそれを分かってるから。 「俺は、美月のことを好きなんじゃないかと思う」 「え、ヅラさん?」 急に顔を上げて、真っ直ぐにどこかを見つめるヅラに、銀時が口を引き攣らせた。 ああ、揃いも揃って。全員今すぐ殴ってやりてェ。 「今まで保護者のように接してきたが…」 「もうまんま保護者だったよ、ようにじゃねーよ」 「銀時、少しはおとなしく人の話を聞けんのか」 「いやいや聞いてらんねーよ」 「何?」 「あ、いやいや。どうぞ続けて」 慌てる銀時を見て、ヅラはぽかんと口を開いた。 「まさか、お前…」 「い、いやー…そのまさか、かも?」 「お前のようなちゃらんぽらんは、美月に相応しくない!」 「う、るせーな!」 「アッハッハ」 「、何だ坂本」 銀時の胸倉を掴んだヅラの肩を、坂本の手がぽんぽんと叩いた。 「ちゅうことは、全員ライバルっちゅーことじゃ」 「全員、だと」 ヅラが俺の方を見る。表情は、信じられないと言いたげだ。 「そうなのか、晋助」 「さァな」 にやりと笑って見せれば、それを肯定と取ったヅラが膝を付いた。 「何てことだ、美月が危ない…」 「オイ、どういう意味だそりゃあ」 「ぶ、お前が一番危ないってよ!」 「銀時、お前も十分危ない奴だ。美月に近寄るんじゃないぞ!」 「はああ?無理でしょ無理!そんなことしてみ、美月が余計落ち込むぞ」 「…、」 ともかく、と銀時が続ける。 「アイツが自分から来るまではそっとしといた方がいーんじゃねーの?」 全員がそれに頷き、ヅラと銀時が屋上から出て行った。 「お前いつから、」 「んー?」 続きは言葉にならなかった。が、辰馬には十分だったみてェで。 「初めて会ったときからかもしれんの」 「チッ」 満面の笑みでそう言う奴を、思わず殴った。 【9:おなじところだけをみていた】 よりによって全員なんて。 分かっちゃいたけど笑えねェ top>main>ag series>Revolve!>Revolve! text |