REVOLVE! | ナノ
ぎゅう、と手に食い込むビニール袋を反対の手に持ち直す。ああ重い。なんで私がこんな事。あ、自分で勝手に始めたんだった。


「後ちょっと、」


日曜のこんな気持ちのいい朝に、両手にパンパンのスーパーの袋を持ってフラフラ歩いてる女子高生なんて、きっと私しかいない。と思う。

やっとの思いで家に着き、早速料理を始める。いつもの手抜き料理なんかじゃない。しっかり作るのなんて久しぶりだから若干心配なのは秘密。

一通り作り終えると(1時間以上もかかった)、携帯をとってソファに身を預ける。


「あ、コタおはよ。美月だけど。今から皆で来てね、じゃ!」


一方的に電話を切ると、ぱたりとソファに倒れる。ああ寝れる。気持ちいい。朝から働いたもんな、お昼寝したい。あ、お朝寝?二度寝とは言わないよね?


「…準備するか」


我ながらアホな事を考えてると思う。怠くて重い体をのそりと起こし、着替えに向かった。









ピンポーン


「はーいはい!っと。早かったね」


ドアを開けると、いつものメンバー。コタは相変わらず朝から爽やか面だし、辰馬はヘラヘラ。銀時は目さえ開いてないし、晋助はその辺の人が見たら卒倒しそうな位目付きが悪い。


「ちょっと、しゃきっとしてよ!折角の日曜なんだから!」

「テメェこんな早くから何の用だ。つまんねェことだったらしばくぞ」


とか言いつつしっかり来てる晋助って、内心楽しみにしてきてるんじゃないかと思ってちょっと笑った。てかこんな時間って、もうすぐお昼なんだけど。


「何笑ってやがる」

「いいえーなんでも。ささ、行こう!」

「どこか出かけるのか?」

「うん、出かけるの」

「どこに行くんじゃ」

「川」

「「「「川…?」」」」


あ、銀時の目が開いた。


「春といえば?」

「眠いです」

「銀時は黙ってて。はい、春といえば?」

「出会いの季節じゃー」

「辰馬もいい。コタ!」

「鰆の季節だな。知っているか、鰆という字は魚偏に春と――」

「晋助!」

「花見酒」

「…惜しい」


私が言うと、全員がぎょっとした。言った晋助本人も。


「お花見だよ、お花見。因みに酒はない。私が作った弁当はある」

「今日の冷凍食品はなんだろうな」

「うっさい晋助!聞いて驚け、今日は冷凍食品ゼロだ!」

「美月、偉いぞ!」

「うん!」

「美月の弁当か、嬉しいのー」

「うん!」

「甘いのもある?」

「うん!お団子作った!みたらしとあんこ!」

「…玉子焼きは」

「え、あるけど…晋助、卵焼き好きなの?」

「……別に」



【3:うぇるかむ、はる!】


「晋助って卵焼き好きなんだってー!」
「違ェよバカ!」




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