ぎゅう、と手に食い込むビニール袋を反対の手に持ち直す。ああ重い。なんで私がこんな事。あ、自分で勝手に始めたんだった。 「後ちょっと、」 日曜のこんな気持ちのいい朝に、両手にパンパンのスーパーの袋を持ってフラフラ歩いてる女子高生なんて、きっと私しかいない。と思う。 やっとの思いで家に着き、早速料理を始める。いつもの手抜き料理なんかじゃない。しっかり作るのなんて久しぶりだから若干心配なのは秘密。 一通り作り終えると(1時間以上もかかった)、携帯をとってソファに身を預ける。 「あ、コタおはよ。美月だけど。今から皆で来てね、じゃ!」 一方的に電話を切ると、ぱたりとソファに倒れる。ああ寝れる。気持ちいい。朝から働いたもんな、お昼寝したい。あ、お朝寝?二度寝とは言わないよね? 「…準備するか」 我ながらアホな事を考えてると思う。怠くて重い体をのそりと起こし、着替えに向かった。 ▼ ピンポーン 「はーいはい!っと。早かったね」 ドアを開けると、いつものメンバー。コタは相変わらず朝から爽やか面だし、辰馬はヘラヘラ。銀時は目さえ開いてないし、晋助はその辺の人が見たら卒倒しそうな位目付きが悪い。 「ちょっと、しゃきっとしてよ!折角の日曜なんだから!」 「テメェこんな早くから何の用だ。つまんねェことだったらしばくぞ」 とか言いつつしっかり来てる晋助って、内心楽しみにしてきてるんじゃないかと思ってちょっと笑った。てかこんな時間って、もうすぐお昼なんだけど。 「何笑ってやがる」 「いいえーなんでも。ささ、行こう!」 「どこか出かけるのか?」 「うん、出かけるの」 「どこに行くんじゃ」 「川」 「「「「川…?」」」」 あ、銀時の目が開いた。 「春といえば?」 「眠いです」 「銀時は黙ってて。はい、春といえば?」 「出会いの季節じゃー」 「辰馬もいい。コタ!」 「鰆の季節だな。知っているか、鰆という字は魚偏に春と――」 「晋助!」 「花見酒」 「…惜しい」 私が言うと、全員がぎょっとした。言った晋助本人も。 「お花見だよ、お花見。因みに酒はない。私が作った弁当はある」 「今日の冷凍食品はなんだろうな」 「うっさい晋助!聞いて驚け、今日は冷凍食品ゼロだ!」 「美月、偉いぞ!」 「うん!」 「美月の弁当か、嬉しいのー」 「うん!」 「甘いのもある?」 「うん!お団子作った!みたらしとあんこ!」 「…玉子焼きは」 「え、あるけど…晋助、卵焼き好きなの?」 「……別に」 【3:うぇるかむ、はる!】 「晋助って卵焼き好きなんだってー!」 「違ェよバカ!」 top>main>ag series>Revolve!>Revolve! text |