犯人の子供


=木ノ葉の里 ニキロ地点=

到着した暗部ニ小隊と三代目火影ヒルゼンは唖然とした。
木々が折れ、地面が削れ、明らかに戦いのあった林の中で子供が二人重なるように寝ていたからだ。

「二名とも息をしています。ただ女の子の方は重傷です」
「この子、、確か何ヶ月か前に里の前に捨てられていた子供ですよ」
「確か、名前はサキ」
「狐憑きって噂されている子です。九尾のことを知っていたっていう」
「やはり他里の刺客か」

部下たちが次々に話す中、ヒルゼンはナルトのそばに寄って腹の術式を確認した。九尾チャクラは落ち着いているし、術式は解かれてなどいない。ここに来る途中たしかに嫌な気がしていた。
しかし、どういう訳か分からないが今は九尾チャクラが鎮まっている。

「ひとまず治療だ。ヒラ、その女子に治療を」
「はい」

ヒラと呼ばれた狐面の男はサキの横にしゃがんだ。
印を結び右手に貯めたチャクラでダメージの多い背中の傷口をなぞっていく。続けて左腕が折れてることを確認し、テキパキと治療していった。

「その子供が起きたら話を聞く。ユサ、同席しなさい」
「分かりました」
「ナルトは中央病院へ。痕跡の調査はろ班に任せる」
「「御意」」

しばらくするとヒラが再度立ち上がった。

「火影様、女の子の治療はあらかた終わりました。里に連れて行けます」
「よし。い班はワシとともに里に戻るぞ」




=火影執務室=

サキが目を覚ますと、見たこともない部屋にいた。
ここはどこだと考える前に、机を隔てた向こう側に自分を見つめる老爺がいて、まずいと胸の内で叫んだ。
その老爺はこの里の長、里の象徴とも言える顔岩の人物で、三代目火影であった。

三代目の背後には狐の面を被った男が一人。そしてサキの背後にも一人、面を被った男が立っている。

「気分はどうかの」

猿飛ヒルゼンは神妙な面持ちでサキに話しかけた。
サキは何で目の前に火影がいるのか、気を失う前までの記憶を辿る。

(そうだ。里の外に出て、それで……)

もう一度周囲を見て、さっきまで一緒にいた人物がいないことに気づいた。

「ナルト!!ナルトと九尾は?」
「ナルトは無事だ。病院で眠っておる」
「……よかった」

サキは胸を撫で下ろし、安心したところで本来言ってはいけないことを言ったことに気づいた。
冷や汗がどっと溢れる。動揺で視線があちこち泳ぐが、ヒルゼンと狐面の二人は真っ直ぐサキを見つめた。睨んでいると取れるほどの眼力で。


「やはり九尾の存在を知ってるおるんだな」
「……はい」
「狐憑きの噂は耳にしていたが、まさかここまでの事態になるとはな。サキといったかの」
「はい」
「お主と九尾の関係、そして今日何があったのか話してくれるな」


サキは口を堅く結んだまま黙りを決めていたが、しばらくして首を縦に振った。

どこから話せばいいか、まずは九尾との出会いからだろうかーー


サキは静かに事の始まりを話し始めた。


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