二次試験


=二次試験会場=

一次試験の次の日、二次試験は第44演習場、通称死の森にて行われる。
半径10kmの円形をしたフェンスで囲まれた、山あり森あり川ありの演習場だ。
試験内容は、5日間の"なんでもあり"の巻物争奪戦。
受験生26組にそれぞれ天地の書をどちらかが渡されるため、もう一方の巻物を他チームから奪い、三人で中央の塔に持ってこれればクリアとなる。

「それじゃ同意書三枚と巻物をあそこの小屋で交換するわ」

「どうする?サキちゃん」
「勿論交換だよ。ユサとヒラも同意書書いてね」



=死の森=

サキたち十一班が得たのは天の書だった。つまり地の書を獲得できれば良しだ。

スタートから1時間、サキはユサから敵チームの位置だけを教えてもらい、戦闘はサキだけが行った。暗部二人にみっちり扱かれてきたのだから、下忍三人相手でも余裕の勝利を収めた。
運良く最初に見つけた班が地の書を持っていたので、試験合格は手堅い。

「天地の書は集まったね」
「ふふん、余裕余裕」
「余裕じゃないと困る」
「む。あのさ、塔に直ぐ行くんじゃなくてナルトの、七班の様子見に行ってもいい?」
「……ま、良いけどさー」
「あまり過保護は嫌われるぞ」
「大丈夫、危険な目に遭ってなければ接触したりしないよ」

サキたちは中央の塔ではなく、ナルト達七班を探した。ユサの感知能力で位置は測れるが、他の受験生に会わないように避けていくと、かなり時間がかかる。

森を駆け抜けて数十分、ユサが第七班の周囲に敵が現れたことを感知した。

「おい、七班敵とぶつかったぞ」
「急ごう」


***


その頃、七班は蛇のような女率いる三人に襲撃されていた。
風圧で三人吹き飛ばされると、サスケとサクラは合流、ナルトは飛ばされた先で大蛇に呑まれてしまっていた。

ナルトは機転により、影分身で大蛇の腹を圧迫し、腹を突き破った。

一方のサスケとサクラは、対峙している蛇のような女の殺気で取り乱しながらも戦っていた。しかし圧倒的な力の差を前にサスケは弱気になってしまう。

そんな二人のピンチにナルトが登場したのだった。


***


十一班はというと依然七班を追って死の森を走っていた。
運悪く七班とは開始ゲートが離れており、かなりの距離があった。
それに死の森というだけあって野生の猛獣も邪魔する。

「おい、戦ってる相手強いぞ。殺されかねない」
「くそ、死なないでよ、ナルト!!」

焦りが募るそんな時だった。サキは九尾チャクラの変化を感じて、急に枝の上で立ち止まった。

「どうしたの?」
「九尾の封印に、何か他の封印術が上塗りされた。九尾のチャクラが漏れ出てない」
「……どういう事?」
「ユサ、ヒラ、頼みがある。九尾に会って話を聞いて来る。その間に体をナルト達のいるところに運んで欲しい。すぐに戻るから」
「分かった」




=精神空間=

黄みがかった檻の空間はいつも通りだ。だからナルトの命に別状はないということで一先ず安心する。

「九尾、何があったか教えて」
「お前も過保護だな。今試験中だろう」
「いいから、ナルトが死んだら九尾だって死んじゃうんでしょう」
「……蛇のような奴が襲撃してきたんだ。そしてワシの封印に五行封印を上書きしやがった」

九尾の封印術は四象封印を二重に施した八卦封印だ。偶数封印に奇数封印を施せば、それまで感情の昂りとともに還元できていた九尾チャクラの流れが悪くなる。

「チッ、、、」
「機嫌わる」
「あんな奴にやられやがって」
「五行封印か、、私高等封印術はまだ覚えてないからな。よし、ソイツを捕まえて、封印解いてもらう」





=死の森=

目覚めた時ヒラに背負われていた。もうナルト達七班は目前だがそこにもう敵の姿はないとユサが告げた。

「ごめん。方向転換して。敵の方を追う」
「はあ!?何で」
「えっと、九尾の封印を上書きしたの蛇のような女で、草隠れの奴らしいの」
「他里の奴か。うずまきナルトが人柱力だと情報が漏れてるのか」
「了解、捕らえよう」

サキ達は七班から離れた草隠れの忍を追うことにした。
相手はうちは一族の力を発揮したサスケに傷を負わされながらも、サスケの首に呪印を施し去った並大抵の忍でないことをサキ達は知らない。

「一時の方角、距離五十!!」

クナイを構え、視界に入ったその人影に投げつけた。
夕刻になっており、木々の隙間から入ってきていた日差しもなくなった暗い森の中、サキは草隠れの忍__正体を大蛇丸に対峙した。

「あなたね、ナルト達に手を出したの。責任取ってもらうから大人しく捕まりなさい!」

振り返った大蛇丸の顔は、爛れた皮膚から真っ白の皮膚が覗いており、不気味そのものだった。

「コイツ、表面の顔は偽物だな」
「うん」

大蛇丸はサキの顔を見て、考え込んだ。

(かつて入っていたあの組織、そこで見たわね。この顔を)

「ふふふ。丁度いいわ」

臨戦態勢に入った両者、サキは大蛇丸と距離を取り得意の結界術で応戦し始めた。ユサとヒラが前線で踏み込まない程度に攻撃を繰り出す。
あくまで怪我人ゼロで大蛇丸を捕縛することが目的だ。

「暗部二人もいると邪魔ね」
「「!!?」」
「何で暗部ってこと知ってるの」
「特有の動きで分かるわよ」

大蛇丸はユサとヒラが一定の距離離れた瞬間に、親指を噛んで印を結んだ。

「口寄せだと!」
「うわ!!!」

突然現れた大蛇にユサとヒラは吹き飛ばされた。そうしてサキは大蛇丸と二人きりになる。

しかしサキの方も捕縛の準備はできていた。ユサとヒラがそれぞれ放ったクナイには術式が書かれていた。それが大蛇丸の四方に刺さっている。

「紅獄檻!!」

四方のクナイが光を放ち、赤黒い檻が具現化された。檻の着想は九尾の檻から。サキのオリジナル忍術だ。
入った対象はチャクラを吸収され続け、吸収したチャクラは檻の強度に反映される。時間が経てば経つほど檻から出ることは不可能になる術だ。

「捕まえた!これで逃げられないわよ」
「それはそちらも同じこと。準備してたのはアンタだけじゃないのよ。嚥下の術!」

気づけばサキの足元に数メートルの蛇が這っていた。

(さっきの口寄せでコイツも!!)

蛇はサキの足に絡まり身動きを塞いだ。急に足を取られ、体が横に倒れてしまう。

(でも、向こうは檻の中。この蛇さえ何とかすれば)

けれどすんなりとは行かず、蛇にどんどん体を締め付けられて、とうとう顔の間際で蛇の口が開いた。

チロチロと舌が伸び、近づいて__喰われると思ったその瞬間

蛇の開いた口からもう一匹の小さな蛇が這いずって出てきた。

(何する気だ)

突然体を締めつける力が強くなり、サキは声を上げた。

「うッ、あああッッ!!?」

ザラザラとした感触と圧迫感で吐き気をもよおした。けれど、吐くことは叶わない。開いた口の中に小さな蛇が入ってきたのだから。

「ング、おあ、、ッあ」

蛇が体をしならせてサキの体内に入りきると、サキの体に巻き付いていた蛇も消滅した。

「おえ、、ウッ、、何した、アンタ…」
「プレゼントよ。貴方の力を測るための、ね」
「、、チャクラが乱れる。何だ」

体の中のチャクラが荒れ狂う。さらに平衡感覚を失い、視界がぼやけていく。

(このままじゃ、檻を維持できない)

体が痛んできて、息が上がる。そのとき、檻の中から大蛇丸の下卑た笑いが見えた。

「この、何企んでるんだ。ナルトに手出して、、」
「ふっ、ナルトくんはついでよ。目的はサスケくんにあるの。アンタへのそのプレゼントも興味本位よ」

サキの術が消える直前にユサとヒラが戻ってきて、サキを抱えてその場から離れた。

「何で逃げるの!」
「アイツ、大蛇丸だ」
「大蛇丸?誰」
「木ノ葉の抜け忍で、ビンゴブックにS級で載ってるような奴だ。三人で向かっても捕らえられるような奴じゃない。ここは火影様に報告して態勢を整えるのが先決だ」
「……分かった」




=死の森 中央塔内=

サキ達はすぐに中央塔に辿り着き、二次試験通過となった。
サキたちは二番目の通過チームの様だ。
一番目のチームは、砂の我愛羅がいるチームで、すれ違った時、彼が無傷なことを確認した。一次試験前にカブトが言っていた通りだった。


「ッ、なんかチャクラが、、」

三代目に大蛇丸のことを報告に行く途中、サキはしゃがみ込んで、壁に力なくもたれかかった。

「汗すごいな。体に入ったっていう蛇の仕業か」
「その調子じゃ三次試験はやめたほうがいいよ」
「ううん...休めば平気だと思うから」
「だけど」
「早く中忍になりたいの」
「……なら次の試験が始まるまで休んでろ」
「うん。そうする、、」

大蛇丸の報告は二人に任せて、サキは廊下で目を瞑った。



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