幸村君が相手校の部長に挨拶するから少し経ったら来て、と言うので柳や丸井と話しつつ跡部の事を思い浮かべていた。氷帝の部長と言えば、あの派手なパフォーマンスに俺様な態度。自分が苦手とする人種だ。そんな奴の味方になって、立海の敵になるなんて、と少々戸惑い気味に幸村君達の所へ行くと、こちらへ駆けて来る幸村君と夏緒、そしてその件の部長、跡部が居た。


「真冬、着替えたんだね」

「うん、制服のままじゃ動きづらいだろうし。」

「ふーん……、」

「な、なんか変かな?」

「え、いや、全然!そんな事無いよ」


顎に手を当てて上から下まで眺めて来る幸村君に不安になってそう問うと、慌てた様子で否定された。良かった。いつもの体育服じゃなくて普通のジャージだから、変なのかと思った。ホッと安心していると、こっち来てと導かれ夏緒と跡部の方へと近づいて行く。


「跡部、彼が今回氷帝を手伝ってくれるマネージャーだよ」

「…西倉、真冬です。」

「いつもは部員なんだけど、今日はマネージャーお願いしたんだ。知識もあるしいいだろ?」

「今日1日だけだしな。部長の跡部だ」

「…どうも」


どこか偉そうに自己紹介してくる部長に嫌悪感を拭えない。やっぱり僕はこいつを好きになれそうに無いな。溜め息を吐きたくなるのを抑え、ちらりと目の前の人物を見上げる。こいつの言った通り、今日1日だけだ。今日だけ。今日だけ、僕は、


「そろそろ始まるね。幸村、戻んなきゃ」

「うん。真冬、困ったらこっち来ていいからね?」

「大丈夫だよ。僕子供じゃないって」

「真冬、分かんない事あったら電話して」

「うん、ありがと夏緒。」


名残惜しそうに幸村君は僕の頭をくしゃりと撫でて、跡部の前で何かを呟くとそのまま行ってしまった。その呟きを聞いていた夏緒は変な笑顔で僕に手を振っていて、跡部は少し青い顔をしていた。


「……あの、僕らも行くんじゃないの?」

「あ、ああ…。」


なにかぶつぶつと言いながら歩き出す跡部の背を追う。見慣れないジャージを前にして、ちくりと心が痛んだ。







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西倉のジャージ姿を見た時の幸村さんは、真冬のジャージ姿もいいなー。でもこれじゃなくて俺のぶかぶかなジャージ着せた…ハッ、俺は何考えてんの!みたいな感じでした。なんか私の書く幸村残念…。