幼なじみ




桜舞い落ちる季節。
俺は車から降り、いつものように校舎に向かう。

桜吹雪の中、校門のあたりに全生徒の視線が注がれている。

視線の先には、金髪と黒髪のやたら体格のいい二人組。

「琥…一?琉夏?!」

なんであいつらがこの学校にいるんだ。
絶対に会わないであろうという校区にある高校に進学したと思ったのに。

小さかった頃の苦い思い出がフラッシュバックする。

俺が家でピアノを弾いていたら、いつの間にか窓辺に姿を現していた琥一と琉夏。
その姿を見た途端、耳を押さえ庭で逃げまくる俺。
そんな俺を確認してニヤリと笑った後、たんぽぽを両手に持ち、綿毛に息を吹きかけながらしつこく追ってくる琥一と琉夏。
どっちかが疲れ果てるまで続く追いかけっこ。

まずい。
あいつらに見つかる前に逃げなければ。

そう思うと、出来るだけ他の生徒にまぎれるようにして校舎に姿を消した。


だが、その時は全く気付いていなかった。
獲物を狙う四つの瞳が俺の方を向いていたことに。








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