「な、なんでおまえらがここにいるんだ。」

「なんでもなにも…だって俺ら、入学式の時にセイちゃんを見かけたんだよ。セイちゃんがいつ俺らを見つけて話しかけてくれるか待ってたのにね。な、コウ?」

「だな。オマエが来ないから俺らから出向いたってワケだ。感謝しろよ。」

なんだ、その無茶苦茶な論理展開。
それとこれとは繋がらないだろう。
というか、俺はおまえらと関わりたくないんだ。

言いたいことは山ほどあるのに、驚きが大きすぎて言葉を空気にのせられない。
と、とりあえず逃げなければ。
あいつらがいない所のドアからなら逃げられる。
そこから逃げ出せ。
運動は苦手だが、小さい頃こいつらから逃げまくったせいか、危険を察知するといつもより速く走れる。

逃げようと足を差し出した瞬間、俺に近づいてくるあいつらの両手がちらっと見えた。
そしてそこには白い綿毛をたっぷりとたくわえたタンポポ。
あいつら、またそれをやるのか。
こうなったら逃げ切ってやる。

「おい、ルカ!追うぞ!」

「あいよっ。セイちゃん俺らから逃げられると思ってんの?」

あいつらの言葉にゆっくりと耳を貸すわけはなく、全力疾走で廊下を駆け抜ける。
階段も飛ばし飛ばし駆け降りる。

「え…設楽先輩が走ってる。珍しい…どうしたんだろ。」

「わっ!後ろから桜井兄弟が追いかけてきてるぞ。設楽、何したんだ…。」








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