※アクドルイルミちゃんへの愛が溢れすぎた盲信気味ドルヲタ女の話
※ネームレス
※なんでも許せる人向け
※入間くんちょっとしか出ません
※ある意味ホラー

























フワフワスカートひるがえし、虹色ステージで踊りだす。
無数に光るスポットライトが眩しくて、あの日あの瞬間キミしか見えなくなった。


『ーーねえ、前座で出てたイルミちゃんって子、知ってた?』
「私も初めて見た!くろむちゃん現場では今まで出てない子だったなー。三人とも可愛いかったね!事務所の新人グループかな?」


仲良しドルヲタ仲間に誘われ人気絶頂アクドルくろむちゃんの夜ライブへ。
チケ運最強の友に感謝しかない。VIP席は取れなかったけど、まさかのアリーナ最前列に圧倒的感謝だった。

くろむちゃん激推の友は中々始まらないライブに周り同様イライラが積もっていた。
そんな友をなだめてる時に流れたアナウンス。暗転からの幕開け。ブーイングを物ともせずステージに降り立った三人組。
突如現れた謎のアクドル、イルミちゃん。


三人のパフォーマンスに会場は大盛りあがり。イライラしていたはずの友も、突然の余興に大興奮で。
その後華麗に登場したくろむちゃんにより会場のボルテージは一気に上昇した。
虹色のライトに染められて始まるステージ。無数のスポットライトに照らされた彼女は魔法をかけられたようにキラキラして見えた。


でもどうしてだろう。くろむちゃんが出てきて嬉しいはずだったのに、イルミちゃんから目が離せなかった。


一心不乱でペンライトを振る。いつもはそんな事思わないはずなのに、彼女と眼が、合った気がした。
ドルヲタ仲間以外に言ったらバカにされるやつ。共感されないやつ。勘違いでしょ笑。って。

それでもそう思わせてくれたのはアリーナ最前列という自信と、イルミちゃんのファンサだった。
照れたようにはにかみ、手でハートのポーズ。パチっとウインクを頂いた。


ーーーある日突然ハートを奪われる。ズッキュン!
歌詞の通りだ。まさしくそうだった。衝撃と高揚でペンライトを持つ手が震える。
無数のアクドルを推してきた私は過去最速で、秘密のアクドルに落ちてしまった。


この子を一生推そう。
その日、私の世界は花が咲くような愛で満たされた。










今夜も部屋の中一人。ス魔ホのディスプレイ越しにあの子は輝いてて。私のカメラロールは必死で集めたキミの画像で埋め尽くされている。

あの運命のライブから二週間。徹底的に隠された謎のアクドルは、憶測以上の情報はいくら探しても見込めなくて。
結局決定的な事は何も掴めず。気がつけばまた月曜の朝を迎えてた。


『…学校…行かなきゃ』


嫌だなぁ。学校行くぐらいだったらもっとイルミちゃんの事探したい。



結局学校は午後に行った。クラスのうるさいヤツが「重役出勤ですかー?」なんてわざわざ聴こえるように言ってきた。その後に続く、数名の笑い声。
うるさい。バカにする事でしか笑いを取れない無能のくせに。ああストレスが溜まる。やっぱ学校なんて来なければ良かった。早くお家に帰ってイルミちゃんに浸りたい。

授業を受ける気も無くなった私はその一限だけ出席し、結局残りは裏庭で過ごすことにした。
何度もSNSの最新情報をチェックする。
…裏垢とか、あるわけ無いよね。それでも探しちゃうんだけど。"あの!謎のアクドルが遂にデビュー!"とか発表ないかな。出会ったその日からそんな期待ばかりしてる。


そうして放課後までやり過ごした。やっと一日が終わった。帰ろう。帰って情報収集の続きだ。
立ち上がったその時、少し離れたところで用務員さんからほうきを託され掃除を任されたらしき生徒が目についた。
あんなに素直に引き受けてる生徒なんて、珍しい。


無意識に目がいったのは、きっと髪色がイルミちゃんと似てたからだ。
忘れるはずもない、キレイなウルトラマリンブルー。


あ、こっちを向いた。
あれ?あの横顔………似てる。

見間違えるはずもない。あれは!あの子は!!



『すみません、』
「はい!どうかしました?」


可愛い外ハネの髪が少し揺れ、振り返った。
きらめく笑顔。キラキラの、衝撃。
頭の中で鳴るミュージック。


ーーー話したい?触りたい?そんなに言うなら遊んであげる


『…あ』


スポットライトなんてここには無い。
でも、振り向いた瞬間あの時の光景を思い出したんだ。


ーーー手を伸ばしたら届きそう?もどかしいでしょ?


『イル、』


会いたくて会いたくてどうしようもなくて。あの日聞いた歌声をずっと脳内で繰り返してた。
ス魔ホのディスプレイに映る唯一の写真をなぞってはため息をついた。ステージを思い出しては夜な夜な泣いた。


ーー悪魔たるもの油断は禁物 ある日突然ハートを奪われる ズッキュン!



奪われたんだよ。あんなに一瞬で。


やっぱり、あの時と一緒だ。
果てしなく遠いはずだったステージと客席。それが今、繋がった。
やっと見つけたキミに伝えたくって、ほうきを掴んでる手ごと握り締めた。










「……あの…?どうかし、」


『イルミちゃん!イルミちゃん!本物だ!!やっと会えた!!髪切ったんだね!制服も男子のなんだ!見つからないはずだぁ!男装も可愛い!似合ってる!まさかバビルスに居るなんて!私学校嫌いだけど来てよかった!泣きそう!ねえ!またステージ出るの?次の予定は?運営に問い合わせしても全然教えてくれなくて!だからSNSとか掲示板とか配信とか検索しまくったけど全然情報出てこなくて!!アクドル界隈で目撃情報あったから地下とかコンカフェとかも探しに行ったの!でも全然違う子で!そりゃそうだよね!クロムちゃんのオプアクするぐらいだからもうすごいアクドルなんだよねイルミちゃんは!もうあまりにも情報無いから特定班もお手上げでさぁ!さすが謎のアクドルだよね!でもそこがヲタク心を燃えさせたの!絶対イルミちゃんにまた会うんだって!そしたら会えた!会えたよ!願いって叶うんだ!私イルミちゃんに一目惚れして!他のアクドルも好きだったけどもうイルミちゃん一筋!こんなに魔界一可愛いアクドル居たんだってびっくりした!これは運命だと思ったの!イルミちゃんでつまらない世界がキラキラして見えたの!イルミちゃんを推すために生まれてきたんだって私思った!イルミちゃんのためなら心臓だって魂だってあげる!だからイルミちゃんの全部を見たいよ!もっともっとイルミちゃんの事教えて!ねぇあれで終わりじゃないよね?またキラキラのステージで踊って!歌って!イルミちゃんが輝くとこずっと見てたいの!だって、だってイルミちゃんは』









君だけが私のアクドル!

























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その後入間くんは駆けつけたイルマ軍に助けられ、女の子はサリバンおじいちゃんにイルミちゃんとの記憶を消される落ちまで考えたよ。普段は節度を守るタイプのドルヲタですがあまりにも興奮しすぎちゃったんだ…。さよならイルミちゃんとの愛しい思い出。
最後は握手会で時間制限内で推しへの愛を語るような感じです。やりすぎたけど。その場合剥がしはアズアズですね。

あなたのためなら心臓だって魂だって捧げられるイルミちゃんガチ勢なドルヲタ書いてみたかっただけだから許して…
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