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4.


で、俺はエロ本売り場の前にいる。

エロ本売り場と言っても実際は図書コーナーの一部で、隅っこにあるエロ本を物色していると周りの人にバレないように少しずれて立っている。今、俺の前にあるのは普通の青年誌だ。

俺のお勧めはグラマラスなお姉様女優かな。水着を着た後ろ姿の若干はみ出るお尻とか、胸の谷間とかもう最高すぎて生き返る。

でも、清楚系高校生ってのもヤバい。

いや、実際には高校生って設定だけだと思うが、ナチュラルメイクのセーラーの威力は凄まじい。ローアングルから撮影した体育座りの一枚は宝物だ。因みに清楚な白だった。

と脳内で大人な女優さん達を検索したが、実際に手に取ったのは最近話題の女優さん。

まだ見たことがないが、人気が高いらしい。

それを鰻や刺身などの陰にコソッと入れた。レジは仕方ないとして、それまでは『エロ本買ってるんだ』とか思われたくない。

因みに、真木は食べたいものを買うようにと言っただけで、金額を気にしろとか言ってない。だから俺は金額を気にせず食べたいものを食べたいだけカゴに入れた。遠慮なにそれ。

で、スーパーを一周しても真木は帰ってこない。かなり広いスーパーだが、食べ物やエロ本を揃えても帰ってこないのはおかしい。

(迷子になったの、あいつ?)

さすがに探しに行こうと足を踏み出した途端、

「お、その女優知ってる」

背後から手が伸びてきて、鰻の陰に隠したエロ本をさっと奪い取っていった。素早く振り返れば、予想通りの憎たらしい顔だった。

「ちょ、…真木」

真木は一度カゴの中を見た。

鰻とか刺身とかどこかの高い霜降り肉が見えているのに、何も言ってこない。淡いヘーゼル色の瞳はすぐにエロ本の表紙に戻されて、ナース服を着た女優さんを眺めていた。

嫌なら自分で本を変えろ、と言いたかったが、真木が持っている物を見て絶句した。

「何買ってんだよ…」

日本酒一升瓶とお稲荷さん。

油揚げがお稲荷さんに昇格したのはどうでもいい。だが、それは普通のお稲荷さんじゃなくて、どうしてこんな一般的なスーパーで売っているのか疑問に思う高級お稲荷さんだった。

容器は安っぽいプラスチックではなくきちんとした木製のもので、お稲荷さんは黄金に輝いていて、見るからに絶品だった。

「ずっとお稲荷さん見てたの?」

「…まぁ。やらねぇぞ?」

「えー」

と言いつつエロ本やお稲荷さんをカゴの中に入れて、俺が持っていたカゴを奪って、真木は文句も言わずにレジに持っていく。

(ちょっとはいいとこあるじゃん)

なんて生き返っても言わない。

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座右の銘:リア充爆発しろ。
現世への未練:イケメン滅ぼす。