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6.


「俺、最近シャッフルを練習してるんだよ。…まぁ、まだまだ下手だが」

と、そいつははにかみながら真新しいトランプの封を切った。ギャンブルに使われるカードは新しいものが開けられる場合が多い。サインを付けるなどのイカサマを防ぐためだ。

広告カードを抜いた真新しいデッキを左手に持ち、右から1枚ずつテーブルに並べていく。合計6枚。6枚並べ終えるとまた一番右からカードを重ねる。それを繰り返していく。

全てのカードを6つの山に順番に配り終えると、山同士を重ね合わせてデッキを戻した。

これは、ディールシャッフル。

別名パイルシャッフル。

見た目は地味だし、時間がかかるが、一番カードを傷めないシャッフル方法である。

(あれ?)

その時になって、ふと気が付いた。

(こいつ、Joker抜いてないよな?)

捨てられているのは広告カードだけだ。

17ポーカーならまだしも、デッキの大多数を使った52枚で行われる通常のポーカーは2枚のJokerを加えずにプレイされる。

ポーカーで遊ぶなら知らないとは思えない。不注意な奴だ、と思ってそれを言おうとした瞬間、俺は中途半端に開けた口をまた閉じた。

(へぇ、イカサマしようって?)

思わず口角を吊り上げた。

不注意を装ったホストは二回目のディールシャッフルへと入る。右から一枚のみを並べていくのは同じだが、今度の山の数は9。一度目のシャッフルの時の山は6だったのに、だ。

俺の視線を気付いたそいつが、知識を見せびらかしたがる子供のように無邪気に笑う。

「多い方がよく混ざるだろ?」

「……そうだな」

嘘つけ。シャッフルしてねぇくせに。

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