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4.


そして、今年舞台に選ばれたのは会員制ホストクラブ『Oasis』、……俺の店だ。

架空の組織をセッティングするといっても、何もないところで一から始める訳じゃない。そんなことをすれば最近出来たものだと容易くバレる。

そうではなくて、既存の店や会社を利用するのだ。

俺の場合、四年前にTCCEに合格して情報屋としての仕事を請け負いながら、ホストクラブを立ち上げた。別に金が足りなかったとかいう訳ではなく、ただ単に俺にとって都合が良かった。

というのも、不特定多数の人が出入りしているクラブなら情報はかなりの頻度と量でやり取りされるから手に入れやすいし、同僚との情報交換だって客を装ってもらえば問題なんてなかった。

もちろん、店自体は法に触れることなく至って良心的に経営していたし、キャスト達だって普通の男の子ばかりでオーナーが情報屋だとも知らない。

なのに、先日、通達が来た。

TCCE運営本部より、試験に協力せよ。

そう簡潔に書かれた紙の下あたりに、今回の”設定”も記載されてあった

受験者によってその嘘の設定が広まり、俺の店の評判が地に落ちたらどうしてくれる、とも思ったが、改めて考えればその心配はいらないらしい。受験者はひよっこといっても試験に合格する可能性が一番高い三人であり、任務情報は漏らさないだろう。

となれば、こんな楽しそうなことを断る理由もない。俺は運営側に協力することに決め、昨日、受験者の目標である偽リストを手に入れた。

後輩をいじる立場にある試験監督は皆楽しいと感じるようで、過去にたった二人しか試験監督をやった者はいないが、面白い暗黙のルールがある。

試験監督は試験中である一ヶ月間、TCCEあるいは試験という言葉を回避すること。これは受験者に聞かれて勘づかれるのを防ぐためだ。それらの単語は代わりにこう呼ばれる。

ゲーム、と。

(act.0 prologue 終)

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。