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10.

※榊side

試験監督なんていたのか。

朝倉皓という名前に見覚えはないが、皓はコウと読むことも、朝日は四年前のTCCEで驚異的なスコアを叩きだした情報屋だとも知っている。

そして、

『試験監督補佐、北谷蓮、夏季。
時久尋斗、マッド・フォックス。』

硬直した頭を必死に動かす。

もしも朝倉皓がコウさんで、コウさんが朝日で試験監督で…。マッド・フォックスが試験監督補佐で、…全て仕組まれた設定で試験だとしたら?

「う、そ、」

だが、辻褄は全て合っていた。

言葉を失う、とはまさにこのことだろう。頭が真っ白になってしまう。トントントン、と背後から聞こえてくる足音にも気付かずに画面を凝視していると不意に肩を叩かれて体が跳ねた。振り返れば、焦ったような立花がいた。

「榊!いや、もういッス、和泉ぃい!!」

「そうだ、シロ、言いたいことが!!」

「シロはやめてッス!犬みたいッス!俺も言いたいことあるッス!試験が、先輩が…、と、とりあえず、コウさん試験監督ッスぅう!!」

「…あ、私もそれ言いたかったんです」

画面に気付いた立花が息を呑んだ。

二人で画面を見ても、二人で文字を確認しても現実が変わることはなかった。学生時代に真っ白いまま期末テストの解答用紙を提出した時の心境を思い出す。…テスト返却が待っている。

キリ、と胃が痛んだ。


ゲームは終了した。

だが、全てが終了したわけじゃなかった。

(act.4 嘘と誠 終)

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騙し合うこのゲームは、
本気で惚れた方が負けなのだ。