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3.


『ふふ、変わったね。初めて会った頃は君だって孵ったばかりの雛だったのに、…子供を持ってちゃんとした母親の顔になっているよ』

「んなっ!?」

『…冗談だ』

すっ、とドラゴンが目を細めた。

『今では立派な始祖の顔だよ、鳳凰』

そういうドラゴンだっていつもの軽い雰囲気は纏っていなくて、空気がずしりと重たい。

直後に彼の姿が変わっていった。

それは陽炎が揺らぐように、それでいて時折ピリッと走る電気のようなものがあった。

力強い翼は絵の具が溶けるように姿を消し、長くしなやかな尻尾も姿を消した。猫ほどの大きさだった聖獣は見る見るうちに伸びて、俺よりも背の高い人の姿を形取っていく。

硬く煌めく鱗はきめ細やかな白い肌に、鋭い爪は形のいい繊細な爪に、だが、彼の黄金色は艶やかな髪へと色を残した。

「さぁ、鳳凰。真面目な話をしよう。君が僕を呼んだのは結婚報告のためじゃないだろう?」

よく通る程よく低い声。

長い指が考え込むように顎に当てられ、その指先にはきちんと人の唇があった。

うなじを少し過ぎた黄金色の髪はハーフアップでまとめられ、前髪が少し斜めに靡く。耳にかけられた横髪のすぐ隣には、長めのチェーンがついたピアスとその先の透き通った琥珀。

中世の貴族を彷彿させる白のドレスシャツに、尾の長い燕尾服。装飾の少ない黒のコートが彼の肌の白さと綺麗な黄金色を際立たせる。

ハットを取る手は白手袋をしていて上品だ。

派手な服装だったが、それに呑まれないほどこの男には華があった。

「世界の話をするため、だろう?」

ただ、琥珀に近いその黄金色の目は優しいながらも僅かに瞳孔が鋭くて、そこだけ爬虫類の名残があった。パチリ、とそれが瞬いた。

「改めまして、…僕が雷の始祖、ドラゴンさ」

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。