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7.

※ホーリエside

前を併走しているヒッポグリフと白馬。それらに乗った二人が談笑しているのが目に入って、眉間に皺が寄っていくのを自覚した。

(モチヅキ、ねぇ…)

イチルがああ言ったから、一応は同行に納得した。だが、警戒を完全に捨て去って、仲間だと手放しで信頼できるはずもなかった。

(…あれは絶対におかしい)

違和感。辻褄が合いすぎているというよりは、偶然が重なりすぎて偶然だと片付けられないんだ。

まずはあの小鳥だ。

一見弱々しくてランクも低そうだが、試合では大きな鳥へと変貌を遂げた。あの姿は今もよく覚えている。光に輝く神々しいまでの純白、空と風を支配する力強い翼、美しく垂れた長い尾羽。あれは東の国で語り継がれる伝説の瑞鳥だった。

彼はマーメイドの防御を破った。水と氷は同じ属性だと考えられているが、正確に言えば性質は違う。水は特に防御に特化しており、Sランクのサラマンダーやグリフォンですら破れない。聖獣の中でも最高レベルの防御をあっさりと、…容易く。

それができるとすれば、

(…まさか、ね、)

極めつけにマーメイドの言葉。始祖、王、と。

それだったら召喚を拒否できたことも頷ける。自然の力を支配する六の王は人間よりも圧倒的に高位に位置し、実力も桁違い程度では片付けられない。

だったら、どうしてあの魔力のない王子様が契約できたんだろうか。…風の王の正体はまだ明らかになっていない。王家と契約すれば、イチルが何も言わなくても広がるんじゃないだろうか。

そして、緑の目に白の羽を持つ小鳥が消えたタイミングで現れた銀髪と緑眼の人間。

(でも、モチヅキの名前は僕でも呼べる。もう、訳が分からないんだけど、)

もしも、この推測が正解だとしたら?

(始祖だけ完全な人型になれる力を持っている…)

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王には世界を守る義務がある。
そして、俺にとっての世界は君である。