6.※
熱い舌が耳を舐めていく。音を立てて吸って、耳たぶを甘噛みして、ふっと軽く息を吹き入れられて背筋が震えた。
耳から犯されている気分になる。
ゾクゾクと駆け上がる快感に耐えきれず、支えを求めて背後にもたれかかれば、硬い熱の塊が尻にぶつかるのを感じた。
それは背後の男の余裕のなさを物語っていて、心なしかレパードの息も荒い。
「っ、…きつそうだな」
「お前ほどじゃねぇけど。もう勃っちまってるが、俺の手がそんなにイイのか?」
「別に、ン、」
正直に言って気持ちいい。
持っていかれそうなほど気持ちいい。
耳やうなじや髪に降る柔らかいキスも、時折内腿を擽りながら感じる場所を的確に攻めてくる手も気持ちよくてたまらない。
下はとっくに反応しきっていて、レパードの手から浴室に響く水音はシャワーの水だけじゃなくて粘着質な水音が混じっている。
弄られ続けている胸だって違和感からジンジンとした痺れになって、今では疼きに変わって感じてしまいそうになる。
だが、それを素直に認めてしまうのが癪で、負けたような気分になる。
そして、俺はもはや快感に溶かされている思考のままに口走った。
「思ったほど上手くは、…ないな」
この一言が俺を追いつめるとも知らずに。
「へぇ?」
レパードが口角を吊り上げる。
挑発されたにも関わらず、危うい色香が漂うその笑みは勝利を確信しているかのように勝気で、落ち着いてもいた。
まるで自ら罠にかかった獲物を見ているように深緑の瞳が愉快げに細まる。
その笑みに快感どころじゃなくて怯えで体が震えた。獲物を逃がす気のない深緑に囚われて、逃れられなくなる。
「上手いかどうか体に試させてやるよ」
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