囚ーtorikoー | ナノ






「遅いぞ〜」
「えへへ」

先程の声をかけた中忍とは、別の中忍の男がそばに来たナルトの首に片腕を回してそういった。
男の言葉にナルトは苦笑するしかない。

ホントはこんなところに来たくはない…とはいっても、きっと怖気づいているだけだろうといわれるに違いないからナルトが黙っていると、男がそっと囁く。

「なぁ、うずまき。どうだ?目ぼしい女はいそうか?」
「へ?」

何をいわれたのかわからずナルトは男を見た。
目ぼしいといわれても、何が?と思いようがない。返事に困っていると男が笑って。

「女、だよ。遊女達の中にお前が好みそうな女がいるか?って事。」
「!!」

(そんなん、わかんないってばよ〜)
迷い惑うナルトである。

女を選ぶといってもそんな余裕もない。
それに…なんだかこちらを見ている艶やかな女達の視線にナルトの方が恥ずかしくなる。

「大丈夫だって!そんなに怖がるこたぁねぇよ。手取り足取り教えてくれるし、イイ気分にもさせてもらえるぜ?」

ニヤニヤとした笑みを浮かべて男がナルトの顔を伺って、そういった。
(…他人事だと思って…)
男を恨めしそうに見て、ナルトは心の中でため息をついた。

「じゃあ、あの女はどうだ?」

ぽんぽんと男はナルトの肩を叩き、とある方向にいる女達を指し示した。
ナルトがそこに目を向けると女達が数人ちらちらと視線を送っている。
女達と目が合ってナルトは顔を紅くした。

「どうだ?」
「…うーん」

女達を意識しているのをはぐらかそうとナルトは唸った。

「いいと思うんだけどねぇ…じゃあ、あれは?」

気乗りしない返事をナルトがすると男はまた別の方向へと指し示す。
ナルトはそれにもまた、うーんと唸ってやり過ごした。

(早く、帰りたいってばよ…)
勧められるたびナルトは途方に暮れた。
やっぱり来てはいけなかったのだと後悔していると。

「翡翠姐さんだ!」

突然ナルトの周囲がざわめいた。

「翡翠?!翡翠だって?!」
「なに!?翡翠がいるのかっ?!」

男が興奮した様に名前を叫んだ。ナルトは一瞬にして変わってしまった雰囲気に目を丸くした。

(…ヒスイ?綺麗な名前だってば)
ナルトはその名前を心の中でつぶやく。翡翠、という名前でこれだけ雰囲気を一変させてしまうその人にナルトは興味を覚えた。

「ねぇ、翡翠って誰?」

男にそうナルトは聞いてみた。
見ると男は興奮冷めやらず、といった表情で。

「この街の一番の器量良しと言われる花魁の名前だ!滅多に外には出てこないんだが…出くわすなんて運が良いぜ!」

男は声のした方に走って行った。

その方向へナルトも視線を向けると大通りの方に人だかりが出来て次から次へと、男女関係なくそちらへ向かって走って行く。
ナルトもその流れにつられる様にそこへと歩いて行った。






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