囚ーtorikoー | ナノ






「ナルト」

自分の名前を呼ぶその声に、ナルトは身体を震わせる。
太陽の光さえも届かない、薄暗い部屋でナルトは椅子に座るカカシの目の前に立たされていた。

ゆるゆると伏し目がちだった視線をカカシに向ける。
(…っ)
知らずナルトは息を呑む。外気に晒されている片目がナルトを射抜く様に見ていた。

「……来い」

そういってカカシが片手を差し出した。ナルトはその手を凝視する。
その手を取れば、どうなるのかわかっている。できれば、その手をとらずにいたい。
…けれど。

「来い」

静かなカカシの声がナルトを呼ぶ。
絶対的な、言葉で。逆らえない、力で。

ナルトは唇を噛んでカカシに向かって一歩、歩き出す。
そして。差し出されるその手に自分の手を重ねた。

重ねた途端に強い力で身体を引き寄せられて、ナルトはカカシの腕に捕らえられる。
(…あぁ)
自分の身体を抱き締めるその腕にナルトは哀しみと絶望に心が彩られる。
微かなカカシの吐息と視界で揺れる銀色の髪にナルトは、ゆっくりと睫毛を伏せてその心を閉ざす。


「んっ、ぅ」

肌をすべるカカシの舌にナルトは震えた。
立ったまま椅子に座ったカカシの肩に縋りつく様にして、その前戯を受けている。
着ていた服は完全には脱がされてはいない。はだけられたままだった。

「は、っあ」

カカシの気まぐれな手が、舌が身体を蹂躙していく。
時に甘く噛み、時に舌を這わせてナルトのその肌に紅い痣をつけていく。

「や…ぁっん」

その感触にがくがくと膝が笑いそうになる。
カカシがその腰をしっかりと固定していて、崩れ落ちる事も許さない。
上半身を捩ってその感触を逃がすことしか出来ない。

「…苦しい?」

見上げるその視線と、掠れたその声がナルトに問いかける。
ナルトはそのカカシの問いに力なく頭を振った。
この人に弱みなど、絶対に見せたくない。
徐々に、身体の奥から眠れる『快感』を引き起こされそうになってもそれをカカシに感じさせまいとした。

「じゃあ、これでも?」
「!!」

カカシが、笑った。
背中に触れるか触れていないかのタッチで手が上から下へ、移動していく。
そのぞくりとした感触がナルトの上半身を仰け反らせた。

「…っ」
「…強情だ、ね」

危うくその行為に声を上げようとして、慌てて唇を噛みしめる。
密やかな含み笑いが妙に耳につく。

……早く、早く終わって欲しい。
切にそう思っていた。

与えられる愛撫ひとつひとつに無理矢理、慣らされて覚えこまされたその『快感』に反応してしまう自分が怖い。
カカシによって変えられていく自分が怖い。
そして何よりも、この人が……

「あぁっ…んん、っ」

ナルトは目をハッと見開いて上半身を引き攣らせた。
ナルトの思考を奪うようにカカシがそのナルト自身を弄び、その無防備になった白い首筋に噛みつくように唇を滑らせる。

「やぁ…っ」

引き離そうとナルトはカカシのその銀色の髪を手で退けようとした。
しかしそれはカカシを煽るだけで、意味を成さない。

「…やだっ」

下肢に集まる熱の塊にナルトがカカシに思わず縋りつき荒く息を吐く。
少しずつ『快楽』に思考が塗り替えられていく。

「あ、あぁ」

手が、指が弄る度にその先端から蜜が零れだし、それがナルト自身を滑らかにしてより一層、快感をナルトに伝えた。

「……あぁ…っ!!」

身体中に熱さが出口を求めて駆け巡り、ナルトは知らず腰を揺らめかす。
この熱をどうにかして欲しくての無意識の動作に、カカシがそのナルト自身を弄るのをやめた。

「や…っ何、する…?」

濡れてけぶる蒼い双眸を向けてナルトが非難する様にカカシを見た。

「?な、なに…?」

下肢に集まる熱を放置されて、ナルトは不安げにカカシに聞く。
カカシは黙ったまま、力ないナルトの両脇に手を入れて抱き上げ、膝にまたがせた。
聞こえるカチャカチャとした金属音。そして

「あ……っ!」

大きく目を見開いてナルトは息を止めた。
突然、下肢を襲ったものにナルトが悲鳴を上げて逃げようと腰を浮かす。

「やっ…ぁぁぁ」

カカシがそれを許さず、ナルトの腰を掴み落としていく。
身の内を引き裂きその奥へと進もうとする楔に身体が引き攣る。

「あっ!あぁ…っ!!」
「…くっ」

先程の行為で濡らしたとはいえ、まだその中は狭い。
ひっきりなしに上がる悲鳴にカカシは顔を顰め、身の内の痛みに嘆くナルト自身に手をかけて擦った。

「はっ、ぁぁあっ」

ナルトの悲鳴が甘い喘ぎに変わる頃、強張るナルトの身体から徐々に力が抜けていく。
カカシはそれを見逃さず、その奥へと突き進んだ。

「…はぁ…っあっあっああ……んっ、」
「…ナルト…」
「…んぅ」

カカシは愛しげにその名前を呼んで、その喘ぐ唇を塞いだ。
上唇を舐め、舌を絡め、歯列を愛でる。その吐息までも奪うように。

「ひっ…んっ」

がくがくと律動に身体が揺れる感触と、カカシの熱い楔にナルトは喘いだ。
身の内を引き裂くその楔にナルトは知らず腰を上下に振る。

その度に痛みが、深い快感に変わる。
(あ、も、…ぅ)
ナルトは何も考えられなくなっていた。

身体を突き上げる熱い楔、カカシの手が施さくても屹立する自分自身。
そして、その行為をしながらもカカシの冷たい双眸がナルトを更なる高みへと煽っていく。

「あっ、あぁ…っ、あっあっあっ」

痛みと快感の間で翻弄される。
カカシの首に縋りつき、ナルトはその眦から涙を流した。
けれど、もう限界が近いのかナルトの声が必死さを増す。

「…んっ、はぁ…っ、あっあっ、ぁあああっ」
「…ルトっ!」

絡みつくナルトにカカシもそれが近い事を知って、律動を早める。
激しく揺さぶられてナルトの頭の中が真っ白になった、その瞬間。

「あっぁぁぁあ…ぁっ!」

首筋にあたるカカシの吐息、銀色の髪、そしてカカシ全体を受け止めて、ナルトは上半身を一瞬、引き攣らせた。





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