囚ーtorikoー | ナノ
窓側のベットに横たわっているナルトにカカシは、舌打ちした。
ナルトが蒼白い顔で眠っている。その顔に片目を細めて吐息をつくとそっと手を伸ばして、その金色の髪を撫でた。
今朝、カカシが目覚めると腕の中にいるはずのナルトの姿がなかった。
家の中にも家の近くにも。
慌てたカカシはナルトの足取りを忍犬達に捜させた。そしてやっと辿りついたと思えばナルトのそばにあのサスケが、いたとは。
「無防備すぎだ、お前は」
先程のサスケを思い出して苦々しくつぶやいた。
サスケも自分と同じ穴のムジナだ。サスケがカカシと同じ想いをナルトに抱いていたのは、七班にいた頃から手に取るようにわかる。
その頃サスケの方もそれを敏感に感じていたのか時々、カカシに鋭い視線を送っていたりした。
中忍になってからは自分の窺い知れない所でコンビを組みだしたから、たまらない。
「……あんなガキに渡すかよ。」
カカシは何を思ったのか、眠っているナルトの布団を剥いでその忍服の胸元をはだけた。
細く白い首筋にはほんの数時間前にカカシがつけた痕はなかった。
それに、悔しいような不可思議な想いを抱く。
顔を近づけ、その白い首筋に歯を立て甘く噛んだ。ナルトは目覚めない。
カカシの視界でナルトの首筋にうっすらと赤い痣がつく。
本当は、もっと自分の『証』をつけたい。
そんな暗い欲情がカカシの胸をよぎる。
あのガキにも、あの男にも、わかる様に。
ナルトが自分の物だとわかる様に。
侵食していく『狂気』それはもうカカシにもとめられない。
……なら、このまま堕ちていこう。
そこが地獄だとしても。
カカシは睫毛を伏せると、そのまま眠るナルトのその唇に口付けた。
fin
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