Chocolater(2/7)



ピーンポーン

僕は圭くんに言われた通り,チョコ作りが始まる前に
向かいのあっくんと琳くんの部屋を訪ねた.

チャイムを押してもしばらく反応がなかったから
試しにドアに手を掛けると,すんなりとドアが開いた.

僕が来るって分かってたから開けてくれてたのかな?

とりあえず玄関に入って,2人の名前を呼ぼうとすると…

「ケーキなんか作れるわけないだろ」

「ンなのやってみないと分かんないじゃん〜」

「分かるよ. 失敗したら時間の無駄になるし」

「大丈夫〜. 食べれるものにはなるって〜」

「クッキーくらいでいいだろ.
それなら失敗する可能性はかなり低い」

「オレはケーキがいいんだって〜!」

2人の言い争う声がリビングから聞こえた.

もう自分の部屋に戻るべき…? って考えが過ぎったけど
よくよく2人の話を聞いてみると,
なにやら "ケーキ" と "クッキー" で対立してるみたい.

それなら何とかなりそう,ってリビングに足を踏み入れると

「瑠依ちゃん!」

真っ先に気づいたあっくんが,すぐにケンカを切り上げて
僕に抱き着こうとした.

「待て,金髪! 話はまだ終わってない」

でも後ろから琳くんに首根っこを掴まれて
グェッと声を漏らして,僕から遠ざけられた.

「ねぇ,ケーキとかクッキーとか,何の話してたの?」

丁度ケンカが中断したからこのチャンスを
逃しちゃダメだ,と僕は2人の間に割って入った.

「せっかく今日は瑠依がこっちに来るし」

「明日はバレンタインだから,何か作ろうってなってさ〜」

ふむふむ. それでどっちを作るか意見が割れたんだね.






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