はりぼてキャメロット・後



なかなかに全力で現実逃避に勤しみたくなるような現状に、隣を見たらアッシュがステータス異常を起こして石化していて、前を見たらぐったりと横たわるこっちのルークの姿と頭を抱えているユーリの姿があって、柄にもなく本気で逃げ出したくなって仕方ないような気も、グラニデのルークだってしないことはなかった。
アッシュに見ないでくれと懇願していたこっちのルークは意識を飛ばしていて、力なく床に四肢を投げ出して横たわる姿はエロいし今の今までユーリのペニスを受け入れていた箇所から太腿を伝って溢れている精液は、あれ掻き出す為に指を突っ込んだら好い声で泣き叫んでくれるんじゃないかな、と思ってしまうのだけど、さすがにそれは現実逃避だとは自覚もある。
うん、一応。
それなりにどころか現状がかなりまずいってことも知ってるよ、ここまでなったら。
兄だと思っていた相手が実は姉だったと言う事実だけでも頭の中はパンク寸前だろうに、加えてまさかの自分の身内がギルドの人間に犯されていた場面を見てアッシュは思考回路をブッツリ切断してしまったから、なんだかもう苦く笑うしかなかった。よがってユーリに縋り付いてこっちのルークが泣いていたら2人は思い合っていてセックスをしていたんじゃないかなぁ、ともしかしたらそう思ってくれたかもしれないけれど、後ろから突き上げられて必死に見ないでとアッシュに懇願して泣き叫んで気絶したルークは、傍から見たら無理やり犯されているようにしか見えなかった。
大丈夫だよ、アッシュ。
あの2人両想いだからさ。
なんて言えない。
ちょっと嘘っぽい。
いや本当なんだけど。

火照って薄っすら汗ばんでいるこっちのルークの体は、肌が白いなあ、とか思うより中から溢れ出ているユーリの精液がエロいと思った。
なんか悲惨な目に合ったんだなあ、と普通の人ならそう思うかもしれないぐらいだ。
あっちのガイに言わせるとルークは変わってるからなぁ、の一言で何かしらの道具を一通り揃えてくれるだろうけど。
…グラニデに今すぐ帰りたいよ、ガイ。


「で、これをどうしてくれるんだ?ルークお坊ちゃま」
「あ、ははははは…とりあえず、アンジュに頼まれてたお酒、渡しに行ったらダメか?」
「きちんとここに戻って来るならな」


にやりと笑って(でも目は欠片も笑ってなんかない)言ったユーリの言葉に、思わずバレてたかあはははは、と続けようと思ったけど本心は全く違うことを考えてたので苦笑いしか返さないでおいた。
床に横たわるこっちのルークが、朱色の長い髪を散らして荒い息を繰り返しているのはついつい手を出したくなるのだけれど、絶対ユーリにぶん殴られて蕩けきった顔を見るどころの話じゃなくなるのは、俺だってわかる。
石化状態になってしまったアッシュがどこを凝視しているのか分からなかったが、今は必死になってこっちのルークが兄じゃなくて姉だと言うことと、ユーリが避妊も何にもせずに中で出したこととでいっぱいいっぱいになっているのは目に見えて明らかだったので、一旦そっとしておくことにした。
とりあえずアンジュにお酒を渡しに行ってパナシーアボトルでも買いに行こう。
説明するのはそのあとでも多分大丈夫だと思いたい。
ここまで固まったアッシュを見たのは、初めてだった。


さて、これからどうすればいいのやら。







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