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『!!』

「っ道香さんアレッ…!」

『「〜〜〜〜っ!」』





最終日、烏野対梟谷。進化を遂げた雛鳥が殻を破る。ずっとそばで支えて来たであろう谷地が、目を輝かせて身を乗り出した道香を見て。2人で手を合わせ、声にならない感動を共有した。





『すごいなあ…見る度に新しくなるね。』

「……うん、私もビックリする。」

『男の子ってすごいよね。私達もがんばろ!』

「頑張りましょうッ!」

「うん、頑張ろう。」





初日から1週間でここまで変わるものなのかと、烏野の変化に思わず舌を巻く道香。清水や谷地と一緒に気合を入れ直し、自分も試合が始まろうとしているコートに戻った。

これが終われば春高一次予選が始まる。





『みんな試合始まるよ〜集まって〜』

「ウィッス!今日も決めます!」

「キメ顔すんならレシーブしっかりやれよな」

「夜久さん厳しい」





烏野に感化された音駒も。彼らの動きの違いに目が奪われているようで、ボーッとしている彼らの背を押しコートに集める道香。

確かに、彼らのバレーは人を惹きつけるものがある。どんなプレースタイルにも捉われない、雑食な彼らだからこその魅力か。

ようやく見えて来たセンターコートでの公式戦。道香以外にも気合が入ることは間違い無しだ。





「俺も活躍して道香さんにカッコイイって言わせます!」

『はーい頑張って〜。空のボトルこっち置いといてね。』

「オイリエーフ、絡みすぎたコラ」

「黒尾さん嫉妬ですか?」

「ア゛ァッ!?まだ言われてねぇだろ調子乗んな!」

『ハイハイ2人ともカッコイイからコート入って。』





音駒対森然の試合が始まる。それでも彼らの試合が気になるのは全員が同じようで、試合中も何度も烏野に気が逸れている黒尾達を見張るように、道香はコートの外から目を光らせていた。





『黒尾!よそ見しない!』

「ヘーイ」

『うっわーシンクロ?カバー無し?』

「お前も人のこと言えねえだろ!」

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