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「はいいくぞお前らー!」
「「「オス!」」」
「さわやか!裏山深緑坂道ダッシュ!…GO!」
梟谷に負けてしまった音駒が坂を駆け上がる。なかなか急なその斜面を登るのも、今日で何回目になるだろうか。木陰のある坂の下でボトルを洗う道香が、懸命に坂を駆け上がる彼らを見上げる。
まだまだエンジンがかかったままの山本が登りきった坂を全力で駆け下り始めると、黒尾や夜久達も続いて駆け下り、そのまま置いていたドリンクを一気に身体に流し込んだ。
『コラ!一気に飲まないよー!』
「道香ー追加あるか?」
『待って、今持ってく。』
木陰から出れば日差しが肌に刺さる。じりじりと焼けるようなそれに、もう慣れてしまっていて。滝のように汗を流す彼らを見て、道香は額に滲む汗をタオルで拭った。
このペナルティが終われば昼食。そう言った猫又は体育館内で烏野対生川の試合を見ている。初日よりも徐々に点差を詰める彼らが見たいのだろう。
「ヘイヘイヘーイ!ペナルティ終わったか?ネコちゃん!」
「うるせえ、とっくに終わったよそんなもん!」
「飯行こうぜ!」
『あ、食堂行くならTシャツ出して行ってね、洗っちゃいたいから。』
体育館から顔を出した木兎がそう叫ぶと、呼吸を整えていた黒尾が悪い顔で言い返す。そんな光景を見て2人の会話を聞いていた道香が2人にお願いを一つ。
午前の練習が終わると皆が着替えてから午後に臨む。それをわかっているからこそ円滑に業務を進めたい道香からのお願いだったが、どうやら固まったこの2人にはマネージャーの言葉ではないように聞こえていたらしい。
いつまでも返事をしない黒尾と木兎に道香が首を傾げると、2人が同時に動き出した。
「オイオイ黒尾、俺今エプロンが見えたぞ」
「奇遇だなって言いたいトコだが今すぐ忘れろ」
「だって完全に「言うな、いつものことだろ」これがいつもなのか…!!」
『は?』
肩を組んで道香に背を向ける2人。全くついていけない道香が再度首を傾げて体育館に入っていくと、2人は肩を組んだまま空いている手を額に当てた。
「今のは完全に嫁だった…」
「あれが俺達のマネージャーだ(可愛すぎたクソ)」
「チクショウ羨ましいぜ…!」
『黒尾!木兎!早く着替えてってば!!』
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