01 春
もうすぐ春休みが終わり、皆は高校生になる。
でも、私はなれないと思っていた。
だって私はこの世界に生まれたわけでは無かったから。
中学は前の世界で卒業しているけれど、こっちの世界で高校受験はしてない。
つまり、私は高校に通うことはできない。
だから私はどこかで働こう、と考えていたわけだったのだけど…
どういうわけか、私は悠太たちと同じ高校に通えることになっていた。
浅羽お母さんに聞いてみたら、「奏歩ちゃんは娘だからよ!」と言われた。
その言葉は嬉しかったのだけれど、いまいちよくわからなかった。
「まぁ、俺達と一緒に高校通えるんだからいいじゃないですか」
「第一、働くって言っても、奏歩じゃ無理でしょ。」
祐希の言葉には多少イラッ☆ときたが、無理な理由は考えないことにしよう
「はい、これが奏歩ちゃんの制服よ」
浅羽お母さんから制服を受けとる。試しに体に当ててみるとちょうどいいサイズだ
少し心が弾んだ
この春、私たちは高校生になる
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