01 福引き
あっという間にこっちに来て一週間がたった。
祐希とゲームをやったり、悠太とCD聴いたり、春ちゃんとお菓子作ったり、祐希と要をからかったりと毎日が楽しい
そんなある日のこと。
「おっかいものー!お買い物ー!」
「あんまりはしゃぐと転ぶよ、奏歩」
「はーい、」
おばさん(浅羽母)に頼まれて、悠太と一緒にお買い物。実は私がこうして街に来るのは初めてなのだ。もう胸が弾む弾む
あちこちふらふらと見て回っている私のことを、悠太が優しい目で見ていたことに、周りを見るのに夢中になっていた私は気付かなかった
「あ、見て悠太。福引きやってるみたいだよ」
赤い目立つテント(?)に長い列を発見。
悠太の袖を引っ張って、福引きの場所を指差すと、「あぁ」と悠太が呟いた。…なになに?
「その福引きの券持ってるよ。母さんに渡されたから…やる?」
差し出された福引き券。…うわぁ!券と悠太が輝いて見える!実は福引きとか運試し的なの私好きなんだよね
「…やりたい」
「じゃあ、並ぼうか」
「うん」
手を繋いで二人で長い列の一番後ろに並ぶ。…え?手を繋いで?
ナチュラルに握られ過ぎて気付かなかったんだけど、なぜに手を繋ぐのですか悠太くん?
通りすがるおばさんや同い年くらいの女の子の好奇や嫉妬や羨ましさの視線が刺さる、刺さる。…悠太かっこいいもんね
なんか見慣れてきちゃったけど、私の周りの人ってみんなかっこいいか可愛いよね
…いや、だからといって悲しくなったりしないよ?私は平凡童顔が特徴だもん。もはやそれしか特徴ないもん!
「…奏歩?」
「ん、…あぁ、どうしたの悠太?」
「どれが欲しいの?」
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