01 世界移動
こんなことってあるのだろうか。
顔の良さ中、頭の良さ中、運動神経中。あとは童顔で背が小さい
友達は、多い方だと思う。自惚れではなく、実際に
そんなどこにでもいそうな高校生の私に、こんなことが起こるなんて、誰が想像しただろうか
学校からの帰り道、友人とのんびり談笑していたら、信号無視をしたトラックに轢かれて、私は死んだ
ちなみに被害者は私だけだったらしい。友人は無事だったようで安心した
さてはて、ここからが問題だ
私は死んだ。確かに間違いなく。そうしたら普通ここは俗に言う「あの世」とやらに逝くはずだと思うわけだ。私は
…それなのに、どうして目を開けた私の前には、顔がそっくりなイケメン君たちがいるのだろうか
つんつん、肌に感じるこの感触はおそらく頬をつつかれているのだと思う
「ねぇ、悠太起きたみたいだよ」
「そうだね祐希君」
前髪以外は瓜二つなイケメン君。前髪以外は瓜二つ。ここ重要ね。テストに出ますから。いつか
まぁとりあえずわかったのは彼らの名前だった。
私の頬をいまだにつついているのが前髪ちょろり祐希さんで、ただじっと見ているだけなのが前髪分かれてる悠太さん
…なんだかその名前に聞き覚えがあった
そうだ、あれだ。最近幼馴染みの阿呆がハマったと言う漫画の登場人物と同じ名前なんだ
確かタイトルは「君と僕」だったけな…
…え?いやいやいや可笑しい。私はトリップとかは信じないよ
たとえ目の前の2人がその漫画の登場人物だと確信が持てても、だ
「悠太、悠太。何も話さないよ?」
「…びっくりしてるんじゃない?目を開けたら知らない俺たちがいたんだから」
「…なるほど」
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