03 自己紹介



どうせ私は断るなんていう選択肢はもとから持っていなかったんだ



「いらっしゃい」


「お邪魔します」


「ただいまで、いいんだよ」


「いや…それは」



最初私がいたのは学校の保健室だったらしく、そこからこの二人の家まで、何故か悠太さんにおぶられてきた


彼曰く「なんか倒れそうだったから」だ、そうだ


…私はどんだけ貧弱なイメージを持たれているんだろうか


そこで私は思った。今さら感が否めないのだけれど、私はここに住めるのか、と言うこと


でもそんな心配はいらなかったようだ。悠太さんが両親に私を紹介し説明をしたところ、あっさりと受け入れてくれた


もはやお母さんに至っては「娘が欲しかったの」と言って大層喜んでくれた


そうして挨拶が済み次に私が連れてこられたのは二人の部屋だった


何故か正座する彼らに、私も背筋を真っ直ぐにして正座をして彼らと向き合う



「そういえば俺たちって自己紹介してなかったよね」


「そういえば、そうだね」



今更過ぎるよね。まぁここに来るまで聞かなかった私も私なんだけどね



「浅羽悠太です。祐希君のお兄ちゃんです」


「浅羽祐希です。悠太君の弟です」



悠太さんがお兄ちゃんで、祐希さんが弟。…うん、納得。悠太さんからはお兄ちゃんオーラが出てるもの



「悠太さんに、祐希さん、ですね」



名前を復唱してみる。うん、覚えた


「むぐっ」



もう一度顔を見て、名前合わせをしようとしたら。何故か視界はベージュ一色


どうやら祐希さんに抱き締められているようだ。…いやいやいやいやいやなんで?



「…可愛い。どうしよう悠太。」



むぎゅっ、と力が込められる。うわわわ、いい匂いする!イケメンさんっていい匂いするんだよね、どうしよう私変態臭いよね!


内心テンパる私には二人の会話など耳にははいってなどこない



「まさに癒し、だよね奏歩って」


「うん、そうだね。」


「なんか柔らかいし、いい匂いするよ」


「…祐希君。奏歩を離しなさい。お兄さん怒りますよ」


「えー、」



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