02 お昼(2)



「それより奏歩。」


祐希の背中にだれーっと寄りかかって、自分のジュースを飲んでいると悠太が私の制服の裾を引っ張った。

その手に持っているのは私のお弁当。


「まだ残ってる。ちゃんと食べなさい」

「嫌だ」


悠太から顔を反らして、祐希の背中に抱き着く。

子供みたいだってわかってるけど嫌なものは嫌なのだ。

後ろから悠太のため息が聞こえてくる。

…そ、そんなことしたって食べないしっ


「奏歩、ほら。あーん」

「あぁん?」

「違う。そんな柄の悪い返事は求めてません」


いいから口開けて。いつの間にか私の口は悠太の言う通りに開かれていく、気がつけば、口の中に広がるふんわりとした優しい味

もぐもくと、何回か咀嚼してそれを飲み込む。やっぱり浅羽お母さんは料理が上手

…じゃなくて、


「何してくれてんですか悠太さん」

「奏歩がお弁当食べないからでしょ」


じとっと悠太を睨み付けれるけど、悠太はそんなことを気にしないように、「はい、あーんして」と唐揚げを差し出してくる

今度は絶対に食べない!

もうお腹はすでに、ぱんぱんなのである。

年頃的に体重も気になるが、それ以上にお弁当の量が異常なのだ。

私は少食ではないが、けして大食いなわけでもない。

だから、流石に悠太と祐希と同じ量のお弁当を食べきれるわけがない

…と、言うことで


「祐希、あーんして!」

「?あーん」


祐希が口からストローを離し口を開いた瞬間、私は悠太の腕を掴み、自分に差し出されていた唐揚げを祐希の口に突っ込んだ。

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